「オーディオ・シェフ vol.1」レポート

3月20日(祝)、21日(土)の両日。せんだいメディアテーク。この晴れの日のためにすっかり整理され、美しく生まれ変わった地下1階準備室では「オーディオ・シェフ vol.1秘密のレシピ公開」が開催された。

smtの地下一階準備室

この日の為に、第一回のオーディオ・シェフである本間武昭(ほんま・たけあき)氏と、助手の村越武蔵(むらこし・たけぞう)氏はどんなレシピ集でいくか、頭を悩ませ開催の直前までエンジニアの佐々木泰次氏と遠藤良夫氏たちと協議を重ねた。満を持して、オーディオシェフチームが持ち込んだスピーカーは、なんと7台。

オーディオ・シェフの本間武昭氏

「音の壁」といえるスピーカーの数々は、テレフンケン、ウィーゴ、シュルツ、グルンディッヒ、ジーメンス、テスラー・・・等。主にドイツ製や旧チェコスロバキア製の名器がずらりと並び、これらのスピーカーに数台のアンプ(PX-4、 KT66、45等:記号は真空管名)の組み合わせで、様々なレコードの音を(弦、金管、木管等の様々な楽器、声、etc)再現する。

オーディオ・シェフサポーターの村越武蔵氏

今回はその最適解の音の組合せをレクチャーと実践を楽しんでもらおうという企画。これらの無限の組み合わせの中でも、ここ数週間悩んだ本間シェフと村越助手の組み合わせが、集ったオーディエンスに次々と披露されて行った。

オーディオ・シェフをサポートするサポーターのお二人

音源はLPレコードとCDが中心で、レクチャーのパート1ではモーツァルト「クラリネット五重奏曲」からはじまり、グスタフ・レオンハルト演奏によるバッハ「ゴールドベルク変奏曲 」、ジョン・ダウランド「リュート歌曲全集」より『華やげる宮廷から遠く』、藤田恵美「And I Love You So」、続く後半もシューベルト「ピアノ五重奏曲『ます』」、高田渡「坑夫の祈り」、白鳥恵美子によるジョン・ダウランド「涙のパバーヌ」等、クラシックからポピュラーまで幅広い選曲でわかりやすく説明された。

さまざまなスピーカーに接続されたアンプ群

特に後半の一曲目は、誰もが知るシューベルトの「ます」の第四楽章。テスラーのスピーカーで再現される音色はキラキラとした水面の音色と変わり、イメージのますが、まるでsmtの地下準備室を遊泳し、そしてまたアンプとスピーカーの中に泳ぎ帰っていくかのような錯覚を覚えるほどの出来に、感嘆の息がもれた。昨今ではあまり聞くことのなくなったオーディオ装置やLPレコードの音色に慣れてくるとリズムをとったり、瞼を閉じて参加者それぞれの個人世界へと浸りながら、春の休日のひとときを楽しんでいた。

オーディオシェフの秘密のレシピノート