バリアフリー通信 第9号 2002年12月号 事業報告 ■てえく寄席報告 普段落語を親しむ機会の少ない耳の不自由な方にも落語を楽しんでいただけるよう、10月6日日曜日に「てえく寄席 手話落語・紙切り公演」を開催いたしました。このような公演は、開館記念イベントから数えて3回目となります。 テンポのよい柳家三三さんの小噺に会場は笑いにつつまれ、会場からの「七夕」、「伊達政宗」というリクエストに応えて切った林家二楽さんの作品が書画カメラを通して後ろの壁に大きく映し出されると、歓声と感嘆の声が数多く聞かれました。リクエストで創られたものは、お土産となり、みなさん大喜び。最後の林家とんでん平さんの手話落語では、「番町皿屋敷」の噺に会場のお子さんからは「怖いよー」という声があがる一幕も。一方、観客の方々と一緒に手話で唄をうたった時には、一転して会場全体がとても和やかな雰囲気に包まれました。公演終了後はみなさんから、「手話を身近に感じることができた」、「初めて落語というものを聞いたが、とても楽しかった。また聞いてみたい。」などの感想をいただくことができました。 また、今回は手話落語というものの存在をできるだけ多くの方に知っていただけるようにと、1階のオープンなスペースで公演を行いましたが、当日は立ち見がでるほど大勢の方々に観ていただくことができました。 メディアテークでは、これからも多くの方に楽しんでいただけるイベントを企画していきます。 ■音声パソコン入門講座が行われました。  10月12日、13日、19日、20日の4日間、午後3時から6時まで、メディアテーク7階スタジオbで仙台市視覚障害者福祉協会との共催で「目の不自由な方の音声パソコン入門講座」が行われました。  今回の講座では、画面を音声で読み上げるソフトを利用し、マウスを使わずにキーボードのみでパソコンを操作する方法を練習しました。当日は受講者6名一人ひとりに視覚障害者福祉協会の講師及びボランティア、メディアテーク職員がサポートにつき、キーボードのタイピング練習や文書の作成、インターネットの閲覧、メールの送受信などを行いました。連日、見学の方々など2を合わせ、20人前後の人々が集まり、秋雨さえも吹き飛ばしてしまうような賑やかで、楽しい講座となりました。3時間という長時間にも関わらず、最後まで集中して取り組んでいる受講者の方々の姿が印象的でした。  講座終了後、受講者の方々から「なかなか難しかったが、今後も継続して勉強していきたい」との意欲的な声があり、新しい一歩を踏み出したことに対する満足気な笑顔を拝見することができました。  今後も音声パソコンに関する講座を開催する予定ですので、ふるってご参加ください。 ■『ナビィの恋』の上映報告 11月10日、画面の動きなどを伝える音声解説付き映画『ナビィの恋』の上映を行いました。このような映画の上映は3度目となりますが、ボランティアの方にライブで音声解説を付けていただく、という形は今回が初めてでした。利用者の方からは、「大変聞きやすく、情景がよくわかった」、「以前行った沖縄の海を思い出した」などの感想をいただきました。 解説の文章の作成から、当日の音訳まで行って下さったボランティアのみなさんからの感想をご紹介します。 *伊藤佐知子さん 今回は、大変貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。ナビィの恋は、愛情にあふれる美しい映画です。その雰囲気を損なわないような解説を、第一に心掛けました。私は沖縄語解説をしましたが、沖縄の方言や、役者さんの表現を大事にしたいと思いましたので、解説が台詞に重ならないように、そのタイミングをつかむのに苦心しました。 その上で、音声解説との「間」の調整を何度も繰り返しましたが、1つのものを作り上げていくプロセスは、とても楽しいものでした。 *加藤身知子さん 今回、『ナビィの恋』の上映で、画面の解説をさせていただきましたが、画面解説はもちろんのこと、一つの映画を20回以上観るということも初めての体験でした。おかげで上映後も3日間は♪「私があなたに惚れたのは」♪という唄のメロディーが頭から抜けませんでした。が、それはかねてから望んでいたことでもあり、とても楽しいものでした。画面解説については俳優さんより一歩引いた所で、邪魔にならないよう、それでいて、目の不自由な方が画面の状況を理解し、イメージを描きやすいよう、お手伝いができたらと思い練習を重ねて来ました。この貴重な体験を生かしてこれからも楽しみながら音声解説をさせていただきたいと思っています。 *鈴木侑子さん 「ナビィの恋」では、沖縄語解説を担当しました。沖縄独特の言いまわしを場面解説とのタイミングを見据えながら標準語のせりふに言い換えていきます。映像がよく見えるように、また聞きやすい音声でとのボランティアの思いがうまく伝わったでしょうか?今後課題はいろいろあると思いますが、映画を愛する人々のためにこの音声ガイドシステムが軌道に乗りますことを願っています。 *高橋真子さん 「ナビィの恋」の上映に向けて音声ガイドの練習にできるだけの時間を取り、職員の方々と4人のメンバーでよりよいものに仕上げて行こうと本当によく頑張ったなという思い。練習中も何度か利用者の方々に聴いた上での感想を言っていただき、それを参考にまた練り上げていくことができました。結果はまだまだ満足とはいきませんが、利用者の方々の映画を深く理解しようと努力されていることも知り、その一助になることができたらうれしいと思いました。 メディアテーク7Fの映像音響ライブラリーには、『ナビィの恋』のビデオがありますので、あらかじめご連絡いただければ、ボランティアの方の、解説付きで鑑賞していただくことができます。興味をお持ちになられた方はご連絡下さい。 お知らせ ■「字幕ビデオライブラリー」新刊案内 11月1日から新しい字幕ビデオの貸出が始まりました。 今回のビデオは、木村拓哉主演の「HERO」や「新・星の金貨」などのほか、「プロジェクトX」や「知ってるつもり!?」、悪質商法対策をわかりやすく解説したビデオなどがあります。FAXやメールでも貸出が可能ですので、ぜひ、ご利用ください。