メディアテーク運営協議会報告書
4.外的要因について

1)図書館との関係

運営組織が異なることもあって、図書館と一体であるというメディアテークの独自性はまだ打ち出せていない。図書館での託児サービスのように、無償サービスが原則の図書館自体では対応が難しいものについても、メディアテークであれば、のびすく仙台や読み聞かせボランティアとなどとも連携して、地域の活性化にもつながるような事業実験や有料サービスが可能かもしれない。市民的なニーズが高ければ、行政的な課題を調整しつつメディアテークで試行的事業を展開することも検討されるべきである。

今後のメディアテーク事業の方向性として、図書館に蓄積された情報を使いこなすためのコーディネート、ボランティア等市民参加型で事業に関わる機会のコーディネート、さらにはベンチャー産業への支援等により広げることを通した外部性の拡張に期待したい。また、2002-2003年に展開された「ライブラリー・プロジェクト」のようなアートと連動した画期的なプロジェクトの継続も望まれる。

2)場の再設定:フロア機能の再検討

現在のフロア構成は、2階の一部と3~4階に図書館部分があり、別途メディアテーク管理の映像音響ライブラリーが7階にある。情報閲覧サービスが分散していることによる利用者の不便やサービス効率の悪さの他に、2階と7階それぞれに活動利用と資料閲覧利用が同居する形となり、結果的に双方の階の活動が不活性化するという現象が起きており、解消のためのフロア配置の見直しが必要である。

3)指定管理者制度

①指定管理者という制度

公の施設の運営については、表面的な収支だけにとらわれず、行政が公共の場を市民に提供するということの効果を重視すべきである。指定管理者制度の導入にあたっては、官から民へ、コスト削減という行政運営上の要請だけではなく、市民の選択枝を広げるといった市民の権利を含めて議論する必要があるかもしれない。

メディアテークの指定管理についても、仙台市が公共の場としてメディアテークをどう位置づけるのか、市民参加での議論や合意形成はまだこれから行われるべき事項であろう。

②自主事業の位置づけ

指定管理業務に関しては、条例では展覧会等の美術・映像事業をメディアテーク事業として規定し、指定管理協定第8条にも記載しながら、実際の業務上は補助金で行う自主事業とされている。補助金による執行が指定管理者の専門性に対する信頼に基づくものであれば良いが、万が一、補助金が打ち切られてしまうとメディアテークにおける展覧会や上映等の芸術文化事業は実施が困難となる。仕様書の中で、指定管理業務範囲として展覧会・上映会の実施も入れるべきである。

③第三者評価委員会

指定管理者制度の下では、私企業に取り込まれない施設のミッション、事業の公共性の観点から評価を行うことができ、また運営者が変わってもメディアテークのアイデンティティを持ち続けるチェック機能を持つ第三者機関を設置する必要がある。

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せんだいメディアテーク
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