S/N

(Dumb Type /撮影1995年、編集2005年/日本/85分/DVD)

ダムタイプによるパフォーマンス「S/N」の公演記録映像。初演は1994年。SignalとNoiseを意味するこの作品は、今日の社会が直面する切実な問題であるジェンダー、エイズ、セクシュアリティなどを軸とし、人種、国籍、あらゆるマイノリティや性差別など、現代社会がノイズとして扱おうとする諸問題を正面から捉えている。
■出演:石橋健次郎、鍵田いずみ、小山田 徹、ピーター・ゴライトリー、砂山典子、高嶺 格、田中真由美、古橋悌二、薮内美佐子
■撮影:日本衛星放送WOWOW(1995年 スパイラルホール/東京)
■編集:高谷史郎
※無料上映

オデット

(ジョアン・ペドロ・ロドリゲス/2005年/ポルトガル/98分/Blu-ray)

自動車事故で恋人のペドロを亡くし悲嘆に暮れる同性愛者の男ルイと、子供が欲しいという強い願望から恋人と別れたばかりの女オデット。オデットは、同じアパートメントに住んでいたということのほかに接点のなかったペドロの子供を妊娠したという妄想に駆られる。ひとつの死をきっかけに、奇異なかたちで交わり、ぶつかり合う、「さすらいの二人」の愛と欲望を描く。ポルトガル現代映画界を代表する作家の一人、ジョアン・ペドロ・ロドリゲスの長編映画2作目。

オープニング・ナイト

(ジョン・カサヴェテス/1978年/アメリカ/144分/Blu-ray)

有名なブロードウェイ女優マートルは、新作『二番目の女』の役作りに取り組むなかで、自身の老いを自覚している。「I love you」と繰り返し呼びかけるファンの17歳の少女が、目の前で車に跳ねられ死んだ日から、彼女は精神の安定を崩し始める。幻覚、不安、孤独に苛まれ失踪するも、ニューヨークでのオープニング・ナイトに彼女はついに姿を現す。監督のジョン・カサヴェテスと主演のジーナ・ローランズ、実生活でも夫婦であった二人が、本作のなかで夫婦役として共演している。

にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活

(今村昌平/1970年/日本/105分/DVD)

横須賀の米兵向けバー「おんぼろ」のマダムに、監督・脚本の今村昌平が、戦後日本の象徴的なニュース映像を見せながらインタビューを試みる。久々にアメリカから帰国したマダムが、さらりと、率直に語る印象や思い出話から、逞しく、現実的な女三代の一家の人生が浮かび上がり、この国の戦後25年の社会史と交錯する。横須賀は、1961年の今村昌平監督作品『豚と軍艦』の舞台でもある。

浮草

(小津安二郎/1959年/日本/119分/35ミリフィルム)

小さな港町に地方巡業の旅芸人一座がやってくる。座長の駒十郎は、この町に住んでいる昔の恋人・お芳とその息子・清のところに通うが、清は実の父である駒十郎が伯父だと聞かされている。一座でも駒十郎との仲が知られているすみ子は、嫉妬から妹分の加代を仕向けて清を誘惑させようとするが・・・ 画面のどこかに何らかの「赤」を配したことでも知られる宮川一夫の撮影や、中村鴈治郎と京マチ子が、大雨の中、小道を挟んで睨み合いながら嘲罵し合うシーンなど、特徴的な味わいどころがある小津映画。

*凡例(監督/製作年/製作国/作品時間/上映媒体)