せんだいメディアテーク



せんだいメディアテークをもっとよく知るためのさまざまな情報を、 副館長/企画・活動支援室長、佐藤泰がお届けします。

15「透明が透明を呼ぶ」

街なかを見渡すと、外装のかなりの部分にガラスを用いる建築がとても増えているように感じます。文字通りガラス張りのメディアテーク もその代表格と言えますが、ちょっと違うのは、これが単に仕上げ材としてガラスを選んだということではないという点です。それはあくまで、人々が将来にわたってメディアを使いこなしていく場にふさわしい、あらゆる意味でバリアのない空間をつくるため、不必要に視界や動線を遮る壁を徹底して排除していった結果でもあるのです。そしてそれは、計画に関わるひとりひとりに壁の意味を問い返しながら、未知の領域を恐れずに新しい公共空間を構築する挑戦でもありました。
バリアのない透明な空間。このコンセプトが生まれたのは、1994年に仙台市が実施した、メディアテークのための設計競技です。21世紀の施設であるメディアテークへの提案を求める設計競技は、その刺激的な内容もさることながら、審査過程をすべてガラズばりにするなど、その透明さにおいても注目を集め、そこで選ばれた伊東豊雄案の透明なイメージをみた人々は「透明なコンペが透明な建築を生んだ」と語り合ったものです。もちろんガラス張りのコンペがガラス張りの建築を選んだからといって、それだけでは何の意味もありません。大切なのは、この設計競技が、私たちをとりまくさまざなバリアや問題を乗り越え、勇気をもって未来を創ろうとする姿勢を喚起し、その結果たくさんの共感を呼ぶ画期的な提案を生んだことなのだと思います。
全応募作品と審査のプロセスを記録したメディアテークの設計競技記録(1995年3月)は、仙台市の市政情報センターで現在も頒布されています。


(2008/09/01)


  • せんだいメディアテーク模型
    せんだいメディアテーク模型
  • せんだいメディアテーク設計競技記録
    『せんだいメディアテーク設計競技記録』

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