せんだいメディアテークをもっとよく知るためのさまざまな情報を、 副館長/企画・活動支援室長、佐藤泰がお届けします。
17「じゅうにん・といれ?」
どんな人にも得意なことや不得手なことがあるように、障がいのあるなしやその度合いも十人十色。メディアテークの多目的トイレの設計は、実際に障がいを持つ人や介護をしている人と通じて、使う人それぞれに異なる多様なニーズについて学びながら進められました。介護が必要な場合、車椅子の場合、手が使えない場合、万一転んだ場合、目が不自由な場合などなど、さまざまな想定について検討するうち、最大公約数的に標準化された多目的トイレを作ることよりも、人の多様性に見合う多様なトイレを作り、そこからそれぞれ自分にあったトイレ選んでもらえるようにすることが重要であることに気づかされました。それまでは各フロアごとにトイレに使えるスペースが異なることが悩みの種だったのですが、むしろそれを逆手にとり、各フロアごとにタイプの異なる多目的トイレを作ることにしたのです。
設計時点から10年経過した今となってみれば、そのような考えはもはや特別なことではなく、むしろ配慮不足の面も目立ち始めているかもしれませんが、当時の私たちとしては、これはまさに起死回生の発見でした。多目的トイレという特別なトイレを考え続けることはもちろん大切でしょう。しかし、それが特別なものでなくなり、一般トイレのバリエーションとして、いろいろなタイプのトイレのひとつに組み込まれること、まさに十人十色のトイレが並ぶことこそが、今日の標準となるべきなのかもしれません。
(2008/10/31)
各トイレの案内図
トイレまで続く点字ブロック(2f)
多目的トイレには「ひろびろトイレ」のシールが
多目的トイレが一般トイレの中にあるタイプ(5f)