せんだいメディアテークをもっとよく知るためのさまざまな情報を、 副館長/企画・活動支援室長、佐藤泰がお届けします。
20「カリム・ラシッド」
1階受付の真っ赤なカウンター、ギャラリー階にあるピンクや緑のいす、各階のゴミ入れなど、これらはどれもエジプト出身でニューヨークを拠点に活動する世界的デザイナーであるカリム・ラシッドによる作品です。彼のデザインは食器、家具、香水からファッションに至るまで幅広く、その作品はMOMAをはじめ世界各地の美術館にも収蔵されています。メディアテークのデザイナーといえば伊東豊雄ですが、実はさまざまなデザイナーたちがコラボレーターとして参加していることも大きな特徴になっています。各階のインテリアや家具のデザインは、2階が金沢21世紀美術館の設計者でもある妹島和世、3、4階が多くの住宅やインテリアを手がけるKTA(手島義明+小池ひろの)、7階がウォークマンやマックからブランドデザインまで幅広く手がけてきたロンドンのロス・ラブグローブです。さらに照明デザインは面出薫、スタッフが着ているジャケットやエプロンはファッションデザイナーの津村耕祐、ロゴマークや館内サインはグラフィックデザイナーの松田行正で、いずれも内外のそうそうたるデザイナーたちが名を連ねています。さながら生きたデザインミュージアムのようなメディアテークですが、たとえどんなに評価の高いデザインであっても、使われ方ひとつでその価値は大きく変わるものでもあります。その意味で究極のデザイナーは使う人自身であり、その本当の価値は最終的に私たち一人ひとりに委ねられているということを忘れてはいけないでしょう。
(2009/02/01)
6階にはピンク色の「メビウス・チェア(通称)」
5階は緑色。みな思い思いのスタイルで利用しています