せんだいメディアテーク



せんだいメディアテークをもっとよく知るためのさまざまな情報を、副館長の佐藤泰がお届けします。

36「貼り紙禁止・その2」

メディアテークの館内のサインや掲示物の取り扱いについて、一冊の本の見出しや脚注がそうであるように、その表示方法やデザインに一定のルールがあることは「ひとことメモ16」で書いたとおりです。ではそのルールとはどのように作られ運用されているのでしょう。メディアテークではみなさんがよく目にするメディアテークのロゴマークをはじめ館内サインから印刷物にいたるグラフィックデザイン全般についての計画が、高名なグラフィックデザイナーである松田行正氏の手で作成されました。またその運用にあたっては、誰でも手軽に必要な掲示物や印刷物を作れるようなデザインフォーマットが用意され、コストや人手をかけなくても、一定のデザイン体系を維持できるように考えられています。扱いやすさを考えて、そのデザインフォーマットはとてもシンプルで、ある意味禁欲的ですらあるため、臨時的な掲示やイベントの印刷物については、それぞれの情報の性格やイメージに即したデザインを持ち込むことも併行して行っています。このようなやり方で開館以来メディアテークのデザインはコントロールされていますが、異なる考えかたを併行してバランスよく運用することは容易ではありません。デザインを一貫して管理するようなディレクターがいればよいのですが、多くの公共施設がそうであるようにメディアテークにもそうした機能を内包していないため、しだいにスタッフの考え方も混乱し、結果として必ずしも当初の想定通りうまく運用できているわけではないのも事実です。グッドデザイン賞のグランプリを受賞した背景には、建築だけではないデザイン全体への評価がありましたが、その質を維持発展させていくためも、デザインの運用について再度見直しを行っていく必要がありそうです。

(2010/06/02)


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    せんだいメディアテークのCI・VIコンセプトの資料

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