せんだいメディアテーク



せんだいメディアテークをもっとよく知るためのさまざまな情報を、副館長の佐藤泰がお届けします。

40「エスペランサ(希望)」

チリの鉱山落盤事故は世界中の人が固唾をのんで見守る中、33人全員が救出されるという感動的な結末を迎えましたが、そのときに盛んに耳にした言葉がスペイン語で希望を意味する「エスペランサ」でした。極限の閉塞状況の中で地上に通じる一筋の希望がどれほど人びとの気持ちを勇気づけ、世界中の人びとの祈りを集め続けたことか。あるクリエイターが自身のブログで「メディアテークがあるから仙台に住める気がする」と書いているのを偶然目にしました。閉塞し停滞しがちな地方都市にあって、小さくても国際的な注目を集め、世界に通じる空気が流れる突き抜けた場所があることの意味は、絶望の地下室に地上から掘削機の先端が届くことの意味に匹敵するというのは言い過ぎでしょうか。厳しさをます地方の現実もあり、そのクリエイターが実際に仙台に住んでいるかどうかは確認していませんが、すくなくともメディアテークの存在が、仙台から外界に、あるいは未知の世界に通じる希望のようなものと受け止められたことは確かだと思います。とはいえ希望が裏切られたときに感じる絶望感はこれまた救いがたいのも事実。10年目を迎えたメディアテークが、人びとにどんな突破口を用意できるのかがあらためて問われています。

(2010/11/01)


  • エレベーターの中から空を仰ぐ"

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