活版印刷ワークショップ

smtデザイン講座 活版印刷 ワークショップ 活動記録

活版days vol.3 活版によるカード作り

「活版の日はなぜか晴れの日が多いね。」
参加者側も運営者側も朝のうちは「そう。こんな天気の良い日は地下の工房に籠もっているのはもったいないですね」などと話す。しかしワークショップが始まってしまえば、そんな会話は嘘のように、それぞれ「活字拾い」や「版組」、「試し刷り」のお手伝いに「印刷」「掃除」とありとあらゆる作業に忙殺されてしまい、全てが終わった頃には夜の帳が降りてきているのが常である。三回目となる活版WSもそんな晴天の2日間だった。今回は「卒業」をテーマとしたポストカードもしくはネームカード(名刺)作りだ。応募資格は高校生以上だが、既に10数年前が高校生だった社会人参加が中心。これまでの小中学生中心の参加者は賑やかであり、楽しかったのだが、「活版文化」まで感じることが出来なかった。今回は2日間の時間があり、また、これまでにも一度は活字をみたことがある年齢層が中心だったので「活版文化」に触れ、その魅力を堪能していただけたのではと思う。

午後、麗らかな春の陽気がチューブを通して地下工房に降りて来る頃。参加者に恒例の「今回参加した目的は?」の質問をしてみた。
一人目はご自身デザイナーであり、最近装丁を頼まれたことから、今回はその書籍のタイトル「Partner」を様々な書体とサイズで試して作られた平さん。仕事の絡みで参加してみたが、伝統の職人の世界は素晴らしいですと答えられた。
それから、名古屋(今回最遠隔地からの参加)からの米本さん。メディアテークのことは以前から仙台のフィルムコミッション等を通じてよく知っていたが、HPでたまたま活版の情報を見つけそれで応募した。綺麗なカードが出来たので是非名古屋の友人にも広めたいとのことだった。
更に山形からの皆さん。普段は司書や公務員として役所や図書館にお勤めの皆さんは同人誌「ほんきこ。」を発刊されている。http://lavo.jp/honkiko/
その中のお一人、中澤さんはこの二日間のワークショップで「ほんきこ。」の名刺を刷った。今後の活動に役に立つとうれしそうに語ってくれた。今回の参加者は2日目の午後にはほとんど自分のカードは刷り上がっていた。さすがに「好きこそものの上手なれ」の諺にあるとおり、書籍や文字の経験者である参加者の殆どは満足いく仕上がりとなったようだ。

最後に見かけたポストカード。カードを活版初心者の彼女は「ありがとう またあいましょう」の13文字を印刷した。デジタル全盛の時代。パソコンで簡単に印刷が仕上がる時代に、2日間もかけて刷り上げた。鉛の活字を拾い紙に刷り込む事は、彼女にとって感謝の言葉の重さを知るワークショップとなったようだ。


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