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せんだいメディアテーク
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写真

韓国では1964年に最初の写真科が開設されてから、数多くの写真専攻の卒業生を大学から輩出していますが、韓国の写真家が世界と同時代的に活動し始めるのは80年代になってからです。これは韓国の驚異的な経済発展の時期と重なっていると言えます。

その頃に韓国では、「写真−新しい視座展」、「韓国写真の水平展」など大規模なグループ展が次々と開かれます。「人(サラム)・風(パラム)」展にも出品しているベー炳雨(ベー・ビョンウ)、金壯燮(キム・ジャンソップ)などは、それらグループ展の主導メンバーであり、彼らが韓国の現代写真を切り開いたと言っても過言ではありません。写真に対する彼らの姿勢は、次の世代に幅広く受けいれられていきました。 90年代には、数百枚の写真を貼り合わせ、1つの立体作品として再構成した現代美術的なアプローチを行う権五祥(グォン・オーサン)や、女性の飾らない裸、主婦たちの無気力な日常の姿を通じてジェンダーの問題をとりあげた金玉善(キム・オクスン)なども現れました。今回取り上げた多彩な9人の作家に代表されるように、現在韓国の写真は全ての方位に向かって開かれています。

今回smtで開催する「人(サラム)・風(パラム)」展は、伝統的な写真から現代美術的な試みをする作家に至るまで、多様な傾向の作家たちの作品によって構成されています。記念すべきワールドカップの韓日共同開催にあわせて開かれるこの展示が、韓国写真の活気と多様性、そして90年代以来、韓国の若い写真家たちが獲得してきた水準を見るためのひとつの手がかりになることと思います。