せんだいメディアテーク

ページの本文へ移動する

ページインデックス

プロジェクトリスト | 森村泰昌×鷲田清一 青少年のための生きる技術としてのゲージツ学校

2016年08月21日更新 第5回レポート 発表会当日

8月7日(日)は”青少年のための生きる技術としてのゲージツ学校”の発表会の日でした。

とうとう迎えたこの日、高校生のみなさんは朝の9時から集まって発表の準備に余念がありません。

校長先生として、世界的な美術家の森村泰昌さんが来仙。それぞれ4チームの発表を見ていただきます。

 

 

まず、せんだいメディアテークの館長でゲージツ学校教頭先生の鷲田清一さんからゲージツ学校のねらいや背景についての説明がありました。

そのあと、ゲージツ学校の参加者のみなさんが開校から発表会までの間にメディアテークと共にどんなことをしてきたのか、今までの出来事がまとめられたビデオを上映しました。

最初のオリエンテーションからはじまり、閉店したナイトクラブへリサーチへ行ったり、写真家・志賀理江子さんのパチンコ店を改装したアトリエツアーに参加したりと普段なら体験できないようなことを参加者のみなさんは経験してきました。

(過去のレポートをご参照ください→6/4 第一回レポート ナイトクラブから考える / 7/23 第三回レポート 志賀理江子アトリエ訪問バスツアー)

その経験を生かしながら、この学校の用務員である美術家のタノタイガさん、学芸員の清水と何度も相談を重ね「閉店したナイトクラブをアートが生まれる場所にせよ!」というお題からこの発表会までに企画を膨らませてきました。

 

ビデオ上映が終わり、いよいよ発表の本番です・・・

一番手はチーム「大仙台帝国」

下座からラップで登場してきました。企画名は「お悩み不満相談所」

”悩み””不満”などのネガテイブなものをラップや歌にしてポジティブなものに変換しようというプロジェクトです。

 

つづいては「センダイニカビジュツブ!」の企画「ナイトクラブであそばナイト!」

ナイトクラブという非日常な場では、ライブやダンスといった表現活動をしやすい環境が作れるのではないか?という観点から企画を行いました。

 

つづいてチーム「スネイプル」の企画「エロ万博」

ナイトクラブから”エロ”というキーワードを拾い、ナイトクラブを会場として様々なエロの様式を展示しようというプロジェクトです。

「スネイプル」の皆さんはその万博のロゴマークやロゴ入りのTシャツ、 りんごと蛇を組み合わせた御神体の像や、テーマソングを制作し、どのような万博にするのかを発表しました。

発表後、森村校長からエロの専門用語についての質問も飛び交いました。

 

最後は「チームホリュウ」の「笑うこととは何かと問う空間」

ナイトクラブから”コミュニケーション”というキーワードを拾い、コミュニケーションで笑いがないとどうなるのか?という仮定をもとに物語をつくり、笑うことは何かを問う空間を提示しました。

発表では、ペープサート(紙人形劇)を自作して演じました。

 

 

すべての発表に対して森村校長、鷲田教頭は真摯に意見を返していました。発表が終わった高校生たちも真剣な表情で聞いていたのが印象的です。

 

発表の後には第二部として、校長の森村さんと教頭の鷲田さんがゲージツについて語り合いました。

ゲージツ学校での森村校長の問いかけ

芸術は、おもしろければ、まちがっていてもよい

美は、多数決の原理では決まらない

芸術と芸能は、どちらもたいせつな文化の両輪である。あなたは、芸術と芸能のどちらを選びますか

身近にいる人を幸せにできない者に、人類の幸せを論じる資格があるだろうか

醒めた熱狂を求めよ

 

ゲージツ学校の開校からずっと掲げられてきた森村校長の投げかけを改めて校長自身に問いかけるなど、鷲田教頭の先導により森村校長の人柄が染み出してくるような対談が行われました。

 

 

6月〜8月の短い制作期間の中で、ナイトクラブを舞台にアートを考えるという難しいお題の中から自分たちなりにキーワードを見つけて、発表までこぎつけた高校生のみなさんの頑張りは素晴らしいものでした。

”青少年のための生きる技術としてのゲージツ学校”は今後も続けていく予定です。

ご期待ください。

 

(記録写真:越後谷出)