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2016年08月14日更新 仙台前衛藝術の足跡を辿る 仙台前衛藝術の足跡を辿る:八木山の小賢帝

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仙台の中心部よりバスに乗って八木山へ向かう。この山肌に沿った住宅街の一角に石川舜さんのご自宅兼アトリエがある。
舜さんはお会いすると、アトリエ内に案内されるまでにいくらか立ち話に夢中になってしまうような、とても人好きのする人物のように思われた。
実は事前にどこか気難しい人物のような噂を耳にしていたこともあり、やや気構えての訪問であったのだが、それは杞憂であったようだ。

図らずも作品群を拝見するまでにあれこれと立話をしてしまうということは、この間うかがった先々で出くわした光景とも共通することである。
挨拶からいきなり無言のうちに作品の前に案内されると云うことは細谷氏とともに行ってきたインタビューではほぼ無かった。
それは彼らが一つの作品を試みた思弁・推敲の時間。ただ紙や布、または板などに対して、筆を動かし、絵の具を盛り上げるといった物質的働きかけのみに意を凝らしたり没入したりするのではなく、絵を描くということから始めたにもかかわらず、絵を描くためのその時代なりの必然性、さらには人が表現するということそのものへと厳しく向き合わざるを得なかったことの表れなのかもしれなかった。

仙台を東京に対しての一地方と見るのではなく、世界を構成する一つの中心点として、近現代の美術表現における必然性や可能性といったものを如何に探り当てることが出来るのか。
美術家としての石川舜さんなりのその試行錯誤の過程が、御自身の絵画表現における変遷のみならず、投書の形として表されたイトイカンジへの畏敬の念であるとか、’64 仙台アンデパンダン展(1964年9月29日-10月11日、三越百貨店)、西公園アートフェスティバル、’67年に現代作家クラブ名義で発行されたパンフレット『死角』などの記憶を通して今に問いかけられてきている。

そういった印象のインタビューとなったこの日、昼に尋ねたはずの私たちは、気付くとアトリエの舜さん共々夕闇に包まれていた。
(文・中西)