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2017年03月09日更新 まつりの準備ー相馬野馬追 「相馬野馬追 まつりの準備」撮影日誌

はじめに

 「相馬野馬追 まつりの準備」のショートドキュメンタリーを製作する企画をたてており、今回公開した映像は、製作途中の映像を短くまとめたものです。コンセプトは「女子高生初陣騎馬武者の野馬追成長譚」であり、伝えたいことは「震災後も変わらない壮大な祭ー相馬野馬追」です。この二つを組み合わせた映像は果たして実現するのでしょうか? この記事では、「相馬野馬追 まつりの準備」の撮影日誌として、撮影の様子を紹介いたします。

 

取材の前に

 まず手はじめに「相馬野馬追」について知るために、郷土史を調査しました。ドキュメンタリーはリアルタイムの現場を相手にする仕事です。事前のリサーチはとても大切な前準備で、映像のディレクションだけでなく、地元の方とのコミュニケーションをはかる上でも役にたちます。資料では伝わらないことをいかに表現していくかは、映像をつくる上での課題の一つだと思っています。

 

カメラポジションの共有

 私と、共同で活動している企画・プロデューサーである荒井さんは、2016年6月から7月におこなわれる本祭へ向けてスケジュールを組みたてていきました。6月20日から、相馬市、南相馬市の祭場地のロケハンをしてカメラポジションを決めました。図は南相馬市の雲雀(ひばり)が原祭場地のカメラポジションです。相馬野馬追は、五郷にわかれており、宇多郷(相馬市)、北郷(南相馬市鹿島区)、中ノ郷(南相馬市原町区)、小高郷(南相馬市小高区)、標葉郷(浪江町、双葉町、大熊町)の各所から騎馬武者が参加します。今回の撮影は、宇多郷と北郷に撮影をしぼることになりました。ただ、それでも規模が大きいため、スタッフワークとなりました。

野馬追 図1.png

宵乗り競馬、甲冑競馬

騎馬武者たちが第一コーナーを曲がります

※赤丸の位置がカメラポジション

 

スタッフ

 本祭の撮影スタッフは、計6名。ビデオ撮影が4名、スチル1名、録音が1名です。撮影は、一般社団法人NOOKメンバーである酒井耕さん、長崎由幹さん。フリーランスカメラマンの濱田直樹さん、私。スチルは東北芸術工科大学在学中だった菅野健さん。録音は卒業生の葛原学さんでした。あらかじめ相馬野馬追の雰囲気を知ってもらおうと、皆には本祭前にYouTubeの映像を見てもらっていました。

野馬追 図2.png

祭場地(羊上の坂)

神旗争奪戦

馬が駆け上がります

※赤丸の位置がカメラポジション

※赤矢印に沿って馬が移動

 

撮影開始

 7月2日、今回のヒロインである穂積楓(ほづみかえで)さんが南相馬市の坂本さん宅で乗馬訓練を行なう情報をキャッチした私は、濱田さん、荒井さんと共に撮影へ出かけました。

 ちなみに撮影の被写体となる穂積さんは、初陣の女子高生です。カメラを向けてもほとんど緊張せず、滞りなくインタビューに答える彼女を見て、「大人だな…」と感心しました。彼女が今回相馬野馬追に参加する動機などを聞き、乗馬訓練後には茶飲み話に花を咲かせました。乗馬訓練の場所をお貸しいただいた、坂本さん、菅野茂雄さんにご挨拶し、この日の撮影を切り上げました。

 7月3日、穂積さんが祭場地で乗馬訓練を行いました。本祭へ向けて、馬をコースに慣れさせるための訓練をしていました。準備をととのえる穂積さんは、歴戦の武者である菅野さんのペースに合わせてスタートしていました。訓練の様子から、本祭へ向けて穂積さんの緊張が高まっているように思えました。

 これ以降の撮影の日程は以下のようになりました。

7/10  穂積さんが甲冑を試着

7/17  南相馬市烏浜漁港で宇多郷北郷の方が乗馬の練習

7/20  穂積さんの千葉の寮、学校で乗馬練習

7/22  鹿島御子神社で北郷のみなさまの出陣前祝

7/23   |

7/24  本祭

7/25   | 

 そして、本祭の撮影後は、編集の作業へとうつりました。

 

編集

 ラッシュ(取材後の未編集フィルム)は計18時間となりました。ここから3分の映像にしようと編集していきました。今後のアーカイブのことを考え、4Kで撮影をしたため、HDDの増設が必要でした。編集ソフト上で映像のかくつきがあるとはいえ、i Mac21.5inchiモデルで4Kの作業はとどこおりなくすすみました。

 編集がひととおりすんだ後「BGMと歌、ナレーションをお願いしよう」と思い立ちました。メディア・アーティストである三原聡一郎さんの紹介で、アーティストの鈴木英倫子さんにBGMをお願いしました。彼女は福島の被災地の現状を知るために浪江の避難指示解除準備区域に立ち入り、リサーチを続けてきました。私は相馬野馬追いのビデオ撮影の合間にこっそりスチルも撮影をしていたのですが、それをキービジュアルとして彼女に送り、作曲していただきました。

 歌は、「みちのくアート巡礼キャンプ2016」に参加していた礒ざき未菜さん。はじめは「相馬盆歌」のアレンジをお願いしていたのですが、都合があり、作詞作曲のオリジナル楽曲「うまとひと」となりました。ありがたいことです。

 今回ナレーションを担当していただいたのは、前作「自然と兆候/4つの詩から」で若松丈太郎さんの詩を朗読していただいた、きくちゆきさんです。

 以上のような手順を経て、今回の3分の映像を製作できました。

 

おわりに

 さて、たとえば海外の映像制作者の中には「広告とドキュメンタリーを中心に撮影」というように、プロフィールに書いている場合もあります。しかしこれまでの撮影から、広告(コマーシャルフィルム)とドキュメンタリーでは、それぞれの「つくりかた」が劇映画とドキュメンタリーぐらい違う気がしました。それは、広告(コマーシャルフィルム)は「撮影前に伝えたいことや意図することを忠実につくりこむ」方法で、一方でドキュメンタリーは撮影を通じて感触を得ながらつくり続ける方法のように思います。そうすると、当たり前のように製作プロセスや方法が変わってくると実感した部分があります。この点は、今後の製作に向けて研究していきたいと考えています。

 

岩崎