インタビュー 2017年11月30日更新

【OUTのその後・3】<クローゼット座談会>CLOSETが潜入!OUT IN JAPAN part1


カミングアウト/クローゼット【OUTのその後】
このシリーズは、2016年3月に実施された「OUT IN JAPAN東北プロジェクト」に関わった人たちにインタビューを行い、ひとりひとり多様である「カミングアウト/クローゼット」のありかたについて見つめ考えるものです。詳細はこちら

座談会メンバー
namihei:1976年生まれ。宮城県出身・在住。FtXでパンセクシュアルでポリアモリーという呪文のようなセクシュアリティ。
キャシー:1977年生まれ。宮城県出身・在住。セクシュアリティはMtX。ノンケ男子ばかりを好きになる永遠の片思い中。
MEME:1980年生まれ。宮城県出身・在住。恋愛感情のないFtXバイセクシュアル。

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クローゼットの3人がなぜOUT IN JAPANに関わったのか

OUT IN JAPAN


MEME:
えっと、私たち3人は、いわゆるセクシュアルマイノリティとか、多様な性のあり方に関わる活動をいろいろやってるんですけど、顔や本名は公にしていない、いわゆるクローゼットなわけです。
そんなクローゼットな3人が、2016年3月、なぜかカミングアウト推しの企画である「OUT IN JAPAN」の東北プロジェクトの運営ボランティアスタッフとして奔走することになって。
しかもその一方で、関連企画として「私がカミングアウトしない理由~CLOSET IN JAPAN~」という、クローゼットの存在をアピールする企画をぶつけるということもやって。不思議がられたり応援されたり批判されたり、いろいろあったわけなんですけど。今日はまずそのへんについて、掘り下げて話してみたいなあと思います。
私の場合、仙台でOUT IN JAPANの#008撮影会やることになりボランティアスタッフを募集してるって話を聞いても、最初は全然手伝う気なんかなかったんですよね。でもとりあえず、実行委員会のミーティングに行ってみることにして。

namihei:そもそもなんで手伝う気もないのにミーティングに行っちゃったの?

MEME:一応、どんなことやるのか聞いておこうかなと思って。監視じゃないけど、ちょっと警戒心もあった。東京モンに荒らされるだけ荒らされて、みたいなのは嫌だなあと。東日本大震災のときもそういう話を聞いてたし。ボランティアと称して自分たちの売名みたいなことばっかりして去る、みたいな。いろいろと批判も多いプロジェクトだったしね。
で、ミーティングで、撮影会のほかに関連企画もやろうみたいな話があって。じゃあOUT IN JAPANに対抗してCLOSET IN JAPANなんてどうかな、って思ったんだよね。バランス取りたいなと思って。OUT IN JAPANのキラキラしたイメージをしんどく感じてるようなクローゼットの交流会なんかどうかなと。
クローゼットのことも尊重してます考えてますって言われても、やっぱりどうしてもOUT のオープンな姿が目立つから。それだったら、同じくらいとまではいかなくても、ある程度の強さをもってCLOSETも見せていかないとたぶんバランス取れないよなって。
で、namiheiさんならこういう企画を面白がってくれるんじゃないかなと思って、「一緒に主催しませんか」ってお誘いしたんですよね。私がそれまで女性限定の交流会しか開催したことがなかったから、性別不問の交流会をやってきたnamiheiさんとコラボすることで、参加者の幅も広がるんじゃないかという考えもあって。

namihei:まあ、間違ってはいないけど。私、要するに利用されたんだよね(笑)。

MEME:利用とか言うな!(笑)で、まあ、namiheiさんにご賛同いただいて。で、これ「本家公認」ってことにすればもっと面白いよね!と思って、OUT IN JAPANを企画運営している「認定NPO法人 グッド・エイジング・エールズ」代表の松中権さんにお話ししました。まぁ、最初は難色を示されて。

namihei:そりゃそうでしょ!ケンカ売りまくってるでしょ!

MEME:いやいやそんなつもりは!本家公認でこういう関連企画やれば、OUT IN JAPANがクローゼットにも目配りしてるっていうスタンスが明確になって、OUT IN JAPANの懐の深さも示すことができるんじゃないですかね、ってことでご提案したんですよ。もちろん、これは別におふざけとか、茶化すような気持ちでやろうとしてるんじゃないし、自分たちなりの切実さがあって。やっぱり仙台・東北で撮影会をやるからには、こういう企画もやりたいんだって、あらためて丁寧にお伝えしました。そして話し合いの結果、「私がカミングアウトしない理由~CLOSET IN JAPAN~」というタイトルで、「協力:認定NPO法人 グッド・エイジング・エールズ」というかたちで開催することに落ち着いたというわけです。
ちなみにメインタイトルを「私がカミングアウト『しない』理由」としたのには、クローゼットだってみんながネガティブじゃないはずだってことで、「できない」とか「したくない」みたいなネガティブな言葉じゃなく、ニュートラルな「しない」を選択したという経緯があります。
で、そしたら松中さんが「自分も行く」って言い出して。監視役かよ!と思って。「お忙しいのにこんなショボい企画にわざわざ来ていただかなくて結構です」とご遠慮申し上げたんですけど、結局いらっしゃることになり。それで、最初はクローゼットの交流会っていうことで考えてたんだけど、オープンな人たちが来るのにそれも変かなってなって。結局、参加条件不問で、クローゼットとかカミングアウトとか、そういうあり方についてみんなで考えようというコンセプトの交流会になったんですよね。
一方で、メイン企画の撮影会の手伝いもすることになった経緯については、CLOSET IN JAPANの方で無理を言ったぶん、手伝わないと悪いかなって気になったというか。引っ込みつかなくなったというか。それに、実行委員会のミーティングに行ったら、明らかに人が足りてなくて。というわけで、流れで撮影会も手伝うことになっちゃったんです。
ところで、namiheiさんはどうして関わったの?私がCLOSET IN JAPANの件で誘う前から関心は持ってたよね?

namihei:さっきMEMEさんが言ったみたく監視。監視だし、中に入れば堂々と悪口言えるじゃん。結局、セクマイ関係でいろんな活動を始めたのも、東日本大震災のときに外から東京のセクマイ関係の団体が来て、私は良い思いをしなかったから。だから、仙台でOUT IN JAPANの撮影会やるって聞いたとき、「ああまたか」って思ったんだよね。またひっかき回して手柄挙げて帰って終わりでしょ?そうはさせねえぞって。でもただ文句言うのは嫌じゃん。中を知って、正々堂々と悪口言いたいなと。それで、中に入っちゃおうと思って。手伝う気マンマンで(笑)。でもその方が事情を知れるじゃん。周りから行かなくてもさ、本人に直接聞けるし。

キャシー:直接聞けるし、ちゃんとした情報が得られるよね。

namihei:そう。手っ取り早い。好き勝手されたり、やられてから反対したりするよりも、やられる前に「それやんないで」って言った方が。もう、作戦だよね。実行委員会に入ってやれって。というわけで、被写体になる気はサラサラなかったけど手伝おうとは思ってた。
あとね、東京の人がイベントをどうやって運営してるのか、その技術を知りたいなっていうのもあった。

MEME:裏方に興味あるっていうのは、私も確かにあった。イベントもお客さんから見えるところじゃなく、大道具とか小道具とか照明とか、そういうのに興味があって。

namihei:キャシーは何で関わったの?

キャシー:台風のようにバン!って企画が来て、どんどんその台風に巻き込まれていったかんじ、かな......。なんかそんな気がする。何でかって言われると......。

MEME:頼まれると断れない?

キャシー:かなあ......。そんなことばっかり(笑)。

MEME:CLOSET IN JAPANでも、当日受付やらお茶くみやら、すごく手伝っていただきまして。

namihei:結局、一番働いてくれてたよね。

キャシー:なんだろう。なんか自然に、手伝わなきゃと思って。2人だけで回すのは大変だろうなって思ったし。

namihei:まあでも、被写体にはなってないわけだから。そういう意味ではCLOSET IN JAPANのメンバーだよね。

キャシー:そうだね、確かに。

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