せんだいメディアテーク

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プロジェクトリスト | 記録と想起・イメージの家を歩く

2014年12月11日更新 ギャラリーツアー 第3回

201412月7日に第3回目のギャラリーツアーを開催しました。

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ツアーのホストは、参加作家でわすれン!設立時のスタッフだった佐藤貴宏さん、長崎由幹さん、メディアテーク学芸員の清水建人です。映像作品や展示物などについてゆるやかに質疑応答を重ねながら、部屋をめぐっていきました。

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▲参加作家の佐藤貴宏さんの部屋です。

壁面には、震災による津波で押し流された自宅の土台に、流出した所有物を拾い集めて並べるというある男性の行為を取材した映像記録『生きられる家 蒲生 渡辺さん宅』が映し出されてされています。また、部屋の隣りの空間には、その男性の所有物を借用して制作した作品『復元された新しい祭壇』が展示されています。「渡辺さんの行為によってできあがった特殊な空間を美術館のようなところでシミュレーションすることには、わりと批判的だったんです。そこで、自分が集めたものを誰にも見せることなく引出しにしまう「収集」を「開示」へと転換させたとき、引出しが起き上がって棚になり、ディスプレイになるというように、美術館の成り立ちをイメージして展示をできないかと考えたんですね」と佐藤さんはお話ししてくださいました。

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▲佐藤貴宏さんの部屋はもうひとつあります。

津波によってがれきが散乱していた海で自主的にビーチクリーンを行っていたサーファーたちの活動と、ビーチ開放式典の様子を記録した『サーファーたちの七ヶ浜のビーチ開放』が映し出されています。地元のサーファーの方々が、安全が確認されるまで海に入ることを自粛し、時間をかけて細かながれきまでをも一つひとつ拾いながら、協力し合って清掃にあたっていたことなどをお話しいただきました。

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▲長崎由幹さんの作品『集会場』です。清水建人からは、「震災記録とそれを観る人との関係性をそのままの状態で終わらせたり、震災のあとの違和感のようなものを全く無しにして終わらせたりすることはできないと思ったんですね。震災記録を記録としてではないかたちで受け取れる場所を会場の中につくりたいと思い、長崎さんにお願いしました」と語られました。密集するパイプ椅子の中心にかすかに揺れる照明がぶらさがり、おぼつかないような、不穏な音が鳴り響く薄暗い空間は、たしかに会場の中でひときわ異質さを放っています。鳴っているのは、集団が発している音を表現するために、会場にマイクを設置して集めた音をハウリングさせた音だといいます。「それぞれの部屋が私的なかたちを帯びる一方で、わすれン!で取材しにいく場所や人びとには開かれた感覚があった気がして。そのギャップから、集会場の公的かつ閉鎖的なイメージが浮かんできました。また、とどまらない、不安定な要素を持たせたくて、パイプ椅子をスピーカーとして空間自体が音を奏でているような感覚の部屋をつくりました」と長崎さんはお話ししてくださいました。

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▲藤井光さんの作品『沿岸部風景記録』を前に、清水建人より展覧会の主旨に触れることばが語られました。

「記録「と」想起と言う時、そこには間に介在しているもの、つまりメディアがあります。メディアということばは、最近では情報媒体という認識で一般的に用いられていると思いますが、もともとはメディウムには「霊媒」という意味があります。たとえば、僕が何かを書いたとして、それが100年残っていたとしたら、次の世代の人が書かれたものを読むことはできます。書いた主体はもう幽霊みたいなものですが、その主体の記憶のようなものをメディアは介在することができるというわけです。しかし、最近用いられる「情報メディア」ということばには、個々のメディアのもつ性質が希薄にされている。その性質というのは、新しいかたちでメディアが現れるときのある種の「不気味性」です。その不気味性こそがメディアの固有性のはずなのですが、それがだんだん私たちにはわからなくなってしまっているのが現在なのかもしれません。そんな中、私たちは2011年に震災に遭い、これまで震災記録をデジタルアーカイブしてきました。記録を後世に残すという社会的な意義を考えてきたわけですが、記録物の媒体性については充分に考えてこなかった部分もあったのかもしれません。だからこそ、震災から3年半を経たいま、当時のことを振り変える際には、メディアとは何かということを同時に問う必要があると思ったんです。デジタルアーカイブを展覧会にするということは、データとして整理されたものをわざわざ展示物に置き換えるということです。記録を観る上では場や時間に拘束される不自由な状態をつくり出していることになりますが、映像記録が物体として目の前に立ち現れることが可能になり、モノや展示空間自体がメディアとして立ち上がる。その時、メディアとは何かと問うことができると考えています」

次回のギャラリーツアーは、12月14日(日)14:00-16:00に開催します。

こちらよりお申し込みの上、ぜひご参加ください。