2014年12月11日更新

関連企画 台所の声−よみかたり−レポート


11月29日(土)に記録と想起イメージの家を歩く関連企画「台所の声−よみかたり−」を開催しました。

ホストは房内まどかさん・みかみ凜さん。

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左:房内まどかさん  右:みかみ凜さん

今回のこのイベントは、「記録と想起イメージの家を歩く」展の関連企画としておこないました。「記録と想起イメージの家を歩く」展のチラシには、次のような言葉があります。

東日本大震災の後、まもなくして、せんだいメディアテークは、この未曾有の出来事を映像などで記録する活動「3がつ11にちをわすれないためにセンター(以下、わすれン!)をはじめました。2011年から2012年にかけて、このような震災後のメディアテークの活動に賛同して集まった人たちの拠点となるべく、「わすれン!」のスタッフのひとりが自宅を共同生活場所として開いていました。毎晩その台所では、記録や表現について議論が交わされ、やがてそれはすぐれた活動成果へと結実していきました。生活の重要な部分をつかさどる台所には、衣食住と表現活動を不可分とする身体の本質が現れてくるのかもしれません」(記録と想起イメージの家を歩くチラシ文より)

展覧会の空間に再現されている台所や、メディアテーク7fにある「台所の可能性」に触発され、台所にまつわる詩や短歌の朗読や自分の言葉で表現することを通して、生活空間だけではない台所を探れないかとお二人が企画されました。

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スクリーンに映した詩や短歌をホストの二人が朗読し、その感想や自分の体験などを参加者に自由にお話いただきました。

「台所で発生する色んな音を一瞬で切り取るところに短歌の面白さがある」

「祖父の家の台所は、暗くじめっとしていた。そのイメージが人の心に及ぼす影響もあるのでは」

「食うことは、噛んだり噛みちぎったり咀嚼すること。それは痛いこと。それが生きることとちゃんと実感としてつなげられているということを感じた」といった声が参加者からあがりました。

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最後に、台所について参加者自身が、自分の言葉で表現しました。

「汚れはすべて水に流す」...汚れはどこに行くのか?キッチンで肉や魚をさばけば血が飛び散るし、汚れる。そういうものに台所はまみれている場所で、汚れは水に流すが、すっきりしないものがある場所。

「その日の感情のまとめ!」...台所は食べ物を作るところでもあり、その日の鬱憤をはらす場所でもある。そういうことがそれぞれの家でおこなわれていると思うと面白い。

「台所は戦場だ」...母親をずっとやってきた。毎日料理をしていたので、肉を切ったり色んな残酷なことをしてきたことに気がついた。最近はおしゃれなダイニングキッチンとかあるが、親たちの時代は生きることと直結した場所だった。

など、単なる生活空間とはまた違った表情の台所が浮かび上がってきました。

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最後は、"台所"について思い起こされることを、それぞれに書いていただいたり、朗読していただいたりしました。それぞれの台所の声が会場に響きます。

台所は、普段何気なく使う場所でもあるのに、改めて振り返ると色んな表情があり、思ったより言葉にするのがもどかしいような感覚を皆さん持っていたようです。家に帰って台所を眺めると、いつもと違った風景に見えるかもしれません。

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↑画像をクリックすると、大きなサイズでご覧いただけます。

今回黒板に書かれたことばたちは、6fギャラリーホワイエにてご覧いただくことができます。(12月17日まで)

普段「台所」ときいて思い描くイメージとは違う言葉たちに、はっとするかもしれません。「記録と想起−イメージの家を歩く−」展とあわせて、ぜひご覧ください。


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