報告 2018年03月14日更新

「ふじさかほとり展ー3名の女性が見つめる地域とそこいらー」を開催しました【レポート】


2017年10月25日(水)から29日(日)まで、ギャラリー・ターンアラウンド(仙台市青葉区大手町6-22)を会場に、地域展「ふじさかほとり展ー3名の女性が見つめる地域とそこいらー」を開催しました。
自身が暮らす地域を、震災以降に撮影し始めた3名の女性、太田典子・宇津井カツ子・柳谷理紗の写真を展示し、また彼女たちと来場者が気軽に言葉を交わす場・スナックを開き、"地域"への願いや想いを共有しました。

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地形の特徴を表した「ふじさか」という地の近辺が彼女たちのお住まいです。藩政期に仙台七坂の一つとして名を知られた藤ケ坂は、住所名には残っていないものの、神社や地域交流農園の名称として今も藤坂と呼ばれています。
彼女たちはこの地域に住み始めて間もない住民です[太田:12年 宇津井:7年 柳谷:8年]。交流を目的に住民が取り組む「まちなか農園 藤坂」をきっかけに、地域づくりへ参加するようになりました。いまや彼女たちは、お祭り、防災訓練、そば打ちなど、地域の期待に応えるべく、あらゆる活動にご尽力されています。

参考.おほはしアラウンド-ブログ「まちなか農園 藤坂」
https://www.smt.jp/projects/ttt/2015/07/post-2.html

【定点観測写真|今日の大橋下流(広瀬川)】
会場中央のディスプレイで映し出した写真スライドは、柳谷が2011年ころから不定期ながらも同じ位置で撮影し続けている広瀬川の写真です。
大きく変わる水位の変化や水の色の違いなどに驚く来場者の反応が印象的でした。

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2015年7月11日  2015年9月11日   2015年9月16日

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2016年11月3日  2017年2月3日   2017年7月9日

参考.おほはしアラウンド-ブログ「【定点観測】大雨時の大橋周辺のようす」
https://www.smt.jp/projects/ttt/2015/10/post-3.html

【スナップ写真|日々の暮らし(藤坂の近辺)】
太田と宇津井が写真サークルへの入会を機に、写真を撮りに散策したり、地域活動の傍らでとっさにカメラを構えたり、さまざまシチュエーションで撮影した写真です。右手に広瀬川右岸側の写真、左手には左岸側の写真、となるよう大分して並べて展示しました。

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    ▲広瀬川左岸の写真 ← | → 広瀬川右岸の写真
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七夕飾りと藤坂織姫神社 瑞鳳寺の竹
2016年7月21日ころ 2017年6月

町内会の有志で毎年新しくつくっている七夕飾りを藤坂織姫神社に飾った日に撮影しました。ミラーに写りこんでいる白いテントは夏祭りの準備の様子。神社や花壇の手入れは私たち地域で行っています。(太田典子)

小雨が降りしきる中でした。瑞鳳寺の竹林を歩いていると、私の性格と一緒で、真っ直ぐ に伸びる竹があったので、根元から空を見上げて撮影しました。この竹林の中から、藤坂織姫神社の七夕飾りの竹が採られています。(宇津井カツ子)

【スナックふじさか】
3名の女性がママに扮した「スナックふじさか」を初日に行いました。おもに地域に住む方々が多数参加し、ママたちから撮影時のエピソードや思い出を開いて、改めて自分の住んでいる地域に魅力を感じていたようです。

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▼ママたちから伺ったエピソード

伊達政宗公の騎馬像 平成26 (2014) 年1 月1 日
雲ひとつない空でものすごい寒い元朝参りでした。日が出る前のお月様と三日月の兜を合わせて撮影。ライトアップの光が台座を照らしています。この年は写真撮りをはじめ、色んなことを楽しんだ一年でした。
(宇津井カツ子)

七夕飾りと藤坂織姫神社 平成28 (2016) 年7 月21 日ころ
町内会の有志で毎年新しくつくっている七夕飾りを藤坂織姫神社に飾った日に撮影しました。ミラーに写りこんでいる白いテントは夏祭りの準備の様子。神社や花壇の手入れは私たち地域で行っています。
(太田典子)

日の出前の騎馬像 平成29 (2017) 年1 月1 日
前の年は大雪で登れなかったので、一年越しとなる元朝参りでした。6 時16 分ころ、日が出そうな時に、太陽を待ち構える政宗公の後ろ姿を撮影。『荒城の月』を歌い、お神酒をいただいて乾杯をする。そのあと、西公園まで坂を下りて大神宮でお祓い。毎年恒例の行事です。
(太田典子)

仙台城跡にあがった硝煙 平成29 (2017) 年10 月30 日
仙台のまちと海まで眺められる天気の良い日。伊達政宗公の生誕450 年を記念した催し「青葉城ワールドフェスタ」に、白石・岩出山・会津の鉄砲隊が参加。耳が切り裂かれるような発砲音と同時に、白く煙があがりました。
(宇津井カツ子)

緑水庵の庭 平成29 (2017) 年3 月ころ
お雛様を愛でるお茶会に招かれた日に撮影。茶室でお茶を点てて飲んでいると、おもむろに龍笛の演者が庭に出て音を奏でました。和装の演者や池に樹々が写る様子などから、お雛様のような"おすべらかし" を着た女性たちが現れてきそうな雰囲気でした。
(太田典子)

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<ギャラリー・ターンアラウンド オーナー 関本欣哉>

「ギャラリーが属する地域を探検する、TTTの初めての展示。むろん、特定の地域を対象にした展示を行うことも、初めてである。この種の展示は、写真や地図・文献のように資料化した、物を見せる形式になりかねない。しかし『ふじさかほとり展』では、3名の女性が、活動や暮らしの中に私らしさを発見し続けていくプロセスを、写真と文字と少しの資料で見せている。そこから浮かび上がるのは、"きれい"な写真には語れない、一貫した地域への愛である。」

ふじさかほとり展を開催した同じ年、藤坂を含んだ地域の自治会である「花壇大手町町内会」の設立50周年誌が発行され、全戸に配布されました。そこに綴られていたのは、主に親の代からここに暮らす女性たちの座談会で語られた、過去の出来事や暮らしのエピソードでした。

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いまここにある"地域"と、過去から接続する"地域"。ふじさかほとりに住んでいる人たちの目には、どのように写ったのでしょうか。おわりに、この地域にも建てられた公団住宅を供給する日本住宅公団の10年史に綴られた詩を紹介します。



新しい故郷

荒野を流れていた小川が
いつか林の中を流れ
今日は子ども等の学校へ通う
橋の下を流れている

人々がここでも寄りそって
つくってゆく新しい故郷
コンクリートの谺

谷川俊太郎 『日本住宅公団10年史』より


地域展「ふじさかほとり展ー3名の女性が見つめる地域とそこいらー」
日時|2017年10月25日(水)〜29日(日)
入場|無料
会場|ギャラリー・ターンアラウンド
企画|地域探検隊-TTT-
協力|ギャラリー・ターンアラウンド
   メディアスタディーズ(せんだいメディアテーク)
   花壇大手町町内会


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