せんだいアートアニュアル2003

Intervals-27歳像-

【写真】作品画像

作家

津田やよい

材質

木製パネルに、綿布、白亜地、油彩、卵テンペラ

作品説明

奈良育ちである私が、絵を学ぶために上京して9年が経つ。幼い頃から寺社に囲まれて育った。その環境は私にとっては当たり前の風景だった。東京での生活は毎日刺激があり、いそがしくもあり充実している。風景も毎日動く。自分を見つめ直すヒマもなく、立ち止まる事は自分で許さなかった。しかしある時、スピードについていけていない様な疎外感を持ち、筆がうまく運ばなくなってしまった。気分転換に実家に帰った時に、東大寺を歩いていた。参道、門、伽藍配置、扉、錺金具・・・京都や鎌倉とはまた違う1200年前に忘れられた都、その頃の建築が目の前にそのまま残っている。その歴史の深さははかりしれないが私と私の前にあるものとの間にふと望郷の念に近い感覚があらわれた。絵を描くことはやめられないが、今でも時には不安になる。その時は立ち止まる事をおそれずに筆をやすめること、友に内緒で奈良に帰り、いろんな寺社の参道を歩きに行ってみる。東京での生活はいまはまだ捨てられない.学ぶ事がたくさんあるから。故郷奈良は私の制作過程を今は密かに精神的に支えてくれる場所である。