せんだいアートアニュアル2003

食パン

【写真】作品画像

作家

高橋俊一

材質

ベニヤ板・アクリル絵具

作品説明

「食パン」隠れ家とは、隠れる時間を過ごすための場所です。そこで過ごすことで、あわただしい日常生活の中で見失った本当の「自分自身」に出会い、取り戻すのではないでしょうか。そして友だち同士であれば、そこはかけがえのない絆を深める場所になります。言い換えれば「隠れる時間を過ごすための場所」はそのまま「自分を元気にするための場所」でもあります。しかし、今やどこに行っても人はあふれ、空を見ても、海を見ても、地下に潜ってもそんな「隠れ家」は存在しなくなってしまったのかもしれません。それでも、こんな時代に生きる私たちは「隠れ家」を、また強く求めています。そしてそれを見つけることが困難になった今、私たちは場所としての「隠れ家」と同じ力を自分にもたらすものを自ら創造しなければいけないところまできています。そこで、私はこの「食パン」を創りました。 色が人間の精神に与える影響は絶大であることは誰もが知るところであります。色はその使い方によって、不安定になった精神状態を正常に戻す力を持っています。また、好みの色を日々記録していくことによって自分をよりよく知るてだてにもなります。そんな時にこれは、このやり方でしか身体に吸収することができない栄養であり、毎日必要とする、いわば日々の食パンになります。色の好みというのは十人十色で、同じ色が好きだという人であっても、目に見える形で提示してもらうと微妙に違う色になります。その違いはいわば人生経験の違いを表すものでもあります。それを知り互いに認めあえることは、より絆を深め、より良い関係を創るために役立ちます。私は、これを自分自身にコネクトするための装置、さらには他者と繋がる新たなコミュニケーション・アートとして提案します。