せんだいアートアニュアル2003

日々

【写真】作品画像

作家

中川源洋

材質

銀塩写真をスキャニング後、大判プリンタにて出力

作品説明

私は、私を知ることをのぞむ。しかし、私が私を直接見ることのできる手段はない。鏡は、単なる光学反射でしかなく、左右逆像である。写真は、過去でしかない。ビデオは、一度電気信号に変換されている。何より、私の心を映し出すものではない。それでは人はどうであろうか。人は、私の想いに反応する。そして何らかの変化を起こす。その反応の中に、私がいる。私は、私を知り、私に出逢うために、他者に会う。より色濃く私が見える2人で会う。
それが私の日常である。
彼女と会うことで知る。彼女と会うことで楽しむ。彼女と会うことで驚く。彼女と会うことで安らぐ。彼女と会うことで畏れる。笑う。彼女と会うことで追いつめられる。逃げる。追われる。逃げる。逃げる。逃げる。
私は何を求めて彼女と会い、何を恐れて逃げるのか。この写真の中には、わずかであるかもしれないが、私がいる。確実に私がいる。この写真は、事実である。私が求めようが逃げようが、事実として存在する。この事実から、改めて何を感じるのであろうか。そして、その事実に触れる他者は何を思うのであろうか。彼女たちは何を思い出すのか。
他者と私の初めての出逢いであり、彼女たちと私の再会の瞬間である。その瞬間を私は渇望し、やはり畏れるのである。