せんだいアートアニュアル2003

agitation point

【写真】作品画像

作家

カルシウム・カンパニー 代表稲波伸行

材質

映像、モニター等機材デジタルビデオ

作品説明

名古屋の政治と経済の流れにより使わなくなった「倉庫」という空間を、人目に触れさせ新たな記憶を残すために、そこにある『site』にとってのこのイベントは重要な活動である。下界と切り離された空間は人知れず時間を重ね、ゆっくりと風化しながら刻を止める。その空間が人目に触れたとき、タイムラグを発生させる『Site Specific(サイトスペシフィック)』な場所になり、そこに意味が生まれる。その特異空間を有効に使うには、その場所に答えるだけのエネルギーが必要である。そのエネルギーが「ツクリテ」を刺激する大きなファクターである事はまちがいないと思う。「遊びの倉庫アジト」は、倉庫のもっているエネルギーそのものを子どもたちに還元し、その場所に対する発送を遊びに転換する。その上で、倉庫という『site』を中心に、リアルサイトネットワーク=リアルメディアとして展開をしていく試みを続けています。子どもが人と触れ、空間と触れ、そして自己と触れていくことでリアル空間をメディアとして認識し、これからますますインターフェイス化、デジタライズ化する時代の子どもたちが、リアルという重要なファクターに徐々に気づいてくれればと思います。そのなかで「遊びの倉庫アジト」は、子ども達、あるいはスタッフにとっての「隠れ家」、つまり自己にコネクトする場として存在していました。世界から隔離された空間の存在を望む反面、その中でさえもコミュニケーションを強く望む子どもやスタッフの姿。人は根元的には能動的な隔離を望む存在であり、かつ「繋がりたい」という自己矛盾を孕んだ存在と言えます。隔離され、自己を見つめ、その中であえて人と繋がる事を望む。それは「人」が、ちまたに溢れている希薄な人間関係ではなく。まるで家族のような濃い関係を根元的に望む存在だからかもしれません。私達は「そこ」が子ども、若者、父母、という様々な世代を内包した一つのコミュニティーへと昇華していく可能性を感じました。隠れることは繋がること。ここ、せんだいメディアテークでは、「遊びの倉庫アジト2003」のドキュメントを中心にしたインスタレーションとして展開します。