せんだいアートアニュアル2003

チチ、カエラズ・・・。

【写真】作品画像

作家

IMP(インプ) 代表 中川拓 作者名 中川拓・今泉健

材質

鉄、布(綿など)、紙など多数

作品説明

あるところに、4人家族の主であり、会社では係長クラスのどこにでもいそうなふつうの男がいました。その男は、家でも会社でも友達の間でもいつも何かのプレッシャーや責任を抱え、もうヘトヘトになっていました。今日も、会社の仕事という檻の中に閉じこめられ、やっと解放された帰宅の途中でした。男の足は重くいっこうに前に進みません。どうしたんでしょう。そう家へ帰れば家族が待っているのです。普通は幸せなもの、しかし、男にとっては、それが重荷だったのです。さあ、家に帰りたくありません。男は、ふと自分のお母さんのことを思い出していました。すると、いつもは気にしない暗い路地の向こうからかすかに光が見えるのです。どこか懐かしい匂い、男は迷うことなくその光の方へと歩き出しました。するとそこには、巨大な『おっぱい』があったのです。男は、恐る恐るもその巨大な『おっぱい』の中を覗き込んで見ると、なんということでしょう。すべてが『おっぱい』の世界が広がっているではありませんか。これはいいと男は、その『おっぱい』の中へと吸い込まれるように入って行ったのでした。男が、『おっぱい』に入ってから1時間、3時間、5時間と時は過ぎ、さらに、12時間…1日…1週間…1か月…1年…とうとう男は、かえってくることはなかったのです。さあ中には何があったのでしょうか。帰りたくなくなるまで男の足を止めていたのはなんなのでしょうか。と、言うのがコンセプトであり僕たちは、『わたしの隠れ家』=安心できる処=母のぬくもり=おっぱいと考え、そしてそれを表現してみました。男という生き物、大人になっても子供であり『おっぱい』を見れば不思議と心やすらぐものです。そして、男なら誰でも一度は「おっぱいの中は、どうなっているのだろう」と思った事でしょう。少なくとも私は、そう思った事がありました。是非、みなさんも、おっぱいワールドを体験してみてください。