せんだいアートアニュアル2003

半透膜スペース

【写真】作品画像

作家

中村由起子

材質

銅板画、オーガンジー による立体

作品説明

銅版画を作るという事は、私にとって、あるがままの自分自身でいられる(妻でも母親でもなく個人としていられる)まさしく隠れ家的な場を得るという事です。しかし、その私にとっての隠れ家は、全く閉鎖された空間ではなく、時には近しい人達が(私の制作を理解してくれる家族・友人など)入ってこれる場であり、自分自身も生活していくという事で作品を作っていけるのだと思います。つまり、人との交わり、社会との関わりの中で暮らしていけるからこそ、私にとっての隠れ家、そして制作が成り立っているという事です。この半透明的な隠れ家の中で、今世界を覆う正義の名の下での暴力を目撃しつつ、それでも、人間の優しさを信じたいと願いながら、かけがえのない生命を銅版画に描けたらと日々版と向きあっています。この私にとっての「隠れ家」をオーガンジーと銅版画で表現できたらと思っています。