作家

山岸礼彦

材質

木材、ベニヤ板、紙、テレビ、ビデオ他

作品説明

募集テーマである「わたしの隠れ家」を、人目を避けて隠れる場所としてではなく、案内にあるように「聖なる場所」として考えました。つまり、人間にとって最も聖なる場所、心の中を隠れ家としました。この作品の平面部分に表現されているのは、ペンローズの三角形と呼ばれる、ありえない三柱構造です。この図形は、部分的には成り立っているが、全体的にはありえないという、逆理図形の代表的なものの一つです。人間もまた、社会的な立場と家庭での役割、あるいは個人的な趣味の時間など、様々な顔を使い分けています。全体的に見て、それぞれが相反する様に思える場所も少なくありません。それが矛盾無く成り立つのは、人間の心が不可思議な存在を受け入れる領域だからではないでしょうか。だからこそ人間は、矛盾の多い世の中で迷いながらも未来を信じて生きてゆけ、だからこそ人間は、悩みながらも他者を受け入れ、愛することができるのではないでしょうか。