展覧会概要

せんだいメディアテークでは、今年2002年のFIFAサッカーワールドカップTM開催を記念して韓国現代写真の諸相を紹介する、「人(サラム)・風(パラム)韓国現代写真の地平 Horizon of Contemporary Korean Photography」と題した写真展を開催いたします。今年は日本、韓国の両国関係において歴史的にも記念すべき年でしょう。FIFAサッカーワールドカップTMの日韓共同開催です。また今年仙台市は、世界的にも有名なアート展である光州ビエンナーレを開催する韓国の光州広域市とも姉妹都市となりました。本展は、すでに韓国を代表し世界的に評価のある世代の作家から、今後韓国写真界を担う若い世代の作家まで、現代韓国を代表する9名の作品で構成されています。

ハングルで人を「サラム」、風を「パラム」といいますが、今回はこの二つの言葉に注目した二部構成でご紹介します。例えば、ベー・ビョンウの風格をたたえた「松(ソナム)」のシリーズは本展のパラム<風景>の部分を代表する作と言えるでしょう。またチョン・チューハは、魂が風景の中をふわふわと漂っていくような寄る辺のなさが際立っている海景写真のシリーズで表現します。一方でサラム<人間>にあたる作品には、新進気鋭のクー・ソンスーやキム・オクスンの作品でしょう。彼らは日常の生活に注目し、妻や女性像といったサラムの形を浮かび上がらせます。また、イー・ソンミンの作品は韓国の家庭生活や人生が、つまりサラムのそのものが大きなテーマです。さらにグォン・オ−サンの紙焼された写真紙を貼り合わせた、立体コラージュの作品は、表現技法の可能性を広げた挑戦となりました。

このように9人それぞれのテーマは、社会状況や、家族、身体、風景など多様ですが、それぞれ韓国のアイデンティティを捉え直そうという作家の息づかいが強く感じられるものばかりです。本展が韓国写真の最新動向を紹介するばかりではなく、かの地の社会状況やそこで暮らす人々の心もかいま見せる意義深い内容となれば幸いです。