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せんだいメディアテーク
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3.11定点観測写真アーカイブ

第5回公開サロン「みつづける、あの日からの風景」

■日時:2012 年 11 月 24 日(土) 14:00−16:00
■会場:せんだいメディアテーク 7f  スタジオa
■参加無料、申込不要、直接会場へ

■問合せ:NPO法人20世紀アーカイブ仙台

tel 022-387-0656 fax 022-387-0651
e-mail npo@20thcas.or.jp
URL: http://www.20thcas.or.jp/

■主催:せんだいメディアテーク、NPO法人20世紀アーカイブ仙台

 

公開サロンでは、震災の記録写真を撮影した市民の方々をゲストに迎えます。震災後間もなく撮影された写真と、その後、震災から日が経つ中で撮影された写真を、撮影者ご本人に紹介して頂きます。これらの写真をもとに、震災体験を参加者のみなさんと話し合い、今後の定点観測にむけ、撮影の場所/時期/方法など、アイデアを一緒に考えます。

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今回の公開サロンで紹介する写真
▶仙台市青葉区
・床一面に散乱した図書館の書籍類(2011年3月11日)
・一番町4丁目商店街の情報掲示板(2011年3月14日)
・損傷した仙台城脇櫓(2011年3月14日)
▶仙台市若林区
・震災より2週間後、仙台市若林区荒浜の様子(2011年3月27日)
▶仙台市泉
・地下鉄泉中央北口。ロープが張られ立ち入り禁止(2011年3月28日)
・泉中央駅構内をバス待ちの行列。後ろ側にも並ぶ(約1時間待ち)(2011年3月28日)
・前日の余震で、運転見合わせのお知らせが貼られたあおば通駅(2011年4月8日)

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みなさんの震災記録写真を募集しています。公開サロン当日、会場へ直接お持ちください。

ご自身で撮影した写真をDVDなどのメディアに記録し、各写真ごとに下記の掲載情報を添えておもちください。

1撮影者名(ハンドルネーム可)
2撮影場所
3撮影日時
・携帯電話画像可。
・仙台市、宮城県内市町村および東日本大震災で被害を受けた全地域。
・その写真についての特筆事項がありましたら、 お知らせください。
・写真は、NPO法人20世紀アーカイブ仙台とせんだいメディアテーク「3がつ11にちをわすれないためにセンター」で共同所有させていただきます。

※この募集は定点観測写真に限ったものではありません。

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3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクトとは

このアーカイブ・プロジェクトは、東日本大震災で被災した宮城県内各市町の震災直後の様子、および震災から定期的に定点観測し復旧・復興の様子を後世に残し伝えるために、市民の手で記録していくものです。これから市民のみなさまから記録者を募っていくとともに、その情報交換・活動の場を公開サロンとして定期的に行っていきます。

これらの定点観測写真は、NPO法人20世紀アーカイブ仙台とせんだいメディアテーク「3がつ11にちをわすれないためにセンター」で記録・公開し、市民参加で震災を語り継ぐ記録としていきます。

宮城県新しい公共の場づくりのためのモデル事業

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第5回3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクト 公開サロン「みつづける、あの日からの風景」レポート

第5回目となった今回は、定点観測の目的について、今までより1歩進んだ話をしてみたい、ということから始まりました。まずひとつは「資料として後世に残すため」ということ。もうひとつは「東日本大震災に、興味・関心を持ち続けること、そして持ち続けてもらうこと」だと思っています。この2点を踏まえて、公開サロンがスタートしました。

今回ゲストで来ていただいた方が、2011年4月24日に撮影した写真。

アゲハ蝶の写真

一見、震災と関係のないように見える写真ですが、実はこの写真は神戸を含めあちこちで大きく取り上げてもらっている写真のひとつです。被害を直接伝えるのではなく、写真を撮った時の想いが、震災を語る、ということを感じさせる一枚です。

震災当時、お子様が小学校6年生で、卒業式の練習をしている時に被災。結局その小学校では卒業式ができず、隣の高校の体育館を借りて卒業式をした、という状況でした。不安な毎日を過ごす中、ある日玄関にアゲハ蝶のさなぎが落ちているのを見つけ、実はそれは建物についていたものが度重なる揺れで落ちてしまったもので、震災から助かったアゲハだから「しんちゃん」と名付け、毎日毎日「しんちゃんだいじょぶかな」と、お子様と一緒にさなぎを観察していました。
この写真は、4月24日の朝に、羽化する直前に撮影したものです。しんちゃんがさなぎから出てきて大空に飛んでいく様子を見て、希望を感じ、「自分たちも、がんばらなきゃ!」という思いを親子で強くした、記念の1枚になった。とお話ししてくれました。
ただのアゲハ蝶の写真ではない、外に出ない「心」の部分。余震も続き不安な時間が流れていく中、心が折れる部分と、それでも復旧復興に向かってがんばらなければ、というその両方の思いが、この写真には込められています。
これらは写真アーカイブだけでは消えてしまうことで、併せてテキストアーカイブもしていく必要がある、と思ったきっかけになりました。

次に定点観測ですが、女川町観光協会から寄せられた写真を紹介します。地震発生から約50分後の写真です。

女川町の震災時の写真

この定点観測として、約1年8カ月後に当NPOが撮ったものが、こちら。

女川町の震災後の写真

震災前の女川を知らない人が、今この写真を見たら、もともと何もない場所で、更地だ。と勘違いする方がいるかもしれません。しかし実はここには津波が押し寄せ、全体が水没。左側に写る建物が海抜18m、さらにその1階部分1m95cmまで浸水した。という情報とともに前後の写真があることで、初めてその状況を知ることができる。資料的価値があると言えます。

ここで、ゲストの方からの意見で「阪神淡路大震災の当時、衝撃を受けた写真があって、それは三点写真だった。震災前の写真もあると、さらにいいものになるのでは」という意見が出されました。また「仙台や県内で、写真を趣味にしている多くのグループが震災の写真を撮っている。そういった方々とネットワークを組みながら市域を飛び越えて活動しては」という意見や、「例えば定年退職された世代の方々であれば、ある程度お時間もある。写真が好きでカメラや機材もお持ちで、さらに土地勘がある所なら、撮りたいっていうかたは結構いらっしゃると思う。そういった方にボランティア登録をしてもらって、お近くだったら撮ってください、という形でやってみてもいいのでは」という案が出されました。

全体の様子1

ご協力くださる方々を広く募って、撮影は個々でしていただくことになっても、その皆さんで集まる機会を作れば、撮影した時の話も聞けるし、場所がわからない写真もそこで公開すればわかる人がいるかもしれない。そういった、さらに一歩進んだ広がりも期待できるかと思います。

このように、活動を広げ、多くの方々に関わっていただくことは、それぞれのかたがそれぞれに震災を改めて考えるきっかけにもなります。これは「東日本大震災に、興味・関心を持ち続けること、そして持ち続けてもらうこと」にもつながります。
実はこの日も、宮城県沖を震源とする震度4の地震が2度起こりました。まだまだ余震が続く中、改めて定点観測を続ける、ということの意味を考えさせられた会となりました。

全体の様子2

報告:NPO法人20世紀アーカイブ仙台

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