バリアフリー通信第5号 2002.4 ■事業記録 てえく寄席「手話落語・奇術公演」 昨年の3月に引き続き2月17日 日曜日、7階スタジオシアターにて、てえく寄席「手話落語・奇術公演」を開催しました。前座の柳家ごん白さんの小噺、音楽にのせて行われた松旭斎静花さんのマジック、そして表情豊かな林家とんでん平さんの手話落語に会場はおおいに盛り上がりました。 終了後のアンケートでは、「とんでん平さんの表情がおもしろかった」という耳の不自由なかたや「初めて手話落語を見たが大変おもしろく、わかりやすかった」、「自分も手話の勉強をしているので大変勉強になった」などの感想をいただくことができました。  メディアテークではこれからも目や耳の不自由なかたも楽しめるイベントを企画していきます。 スタジオアプリケーションツアー 画面の文字を音で聞く 3月23日 土曜日、7階スタジオbにて一年間継続してきたスタジオ・アプリケーション・ツアーの最終回が行われ、目の不自由なかた、晴眼者を交えた参加者9名が集まりました。 今回はバリアフリー機器を体験する内容で、拡大読書器、音声読み上げ器、点字印刷、ホームページ読み上げ、音声読み上げソフトによる文書作成など盛りだくさんでした。 カードに点字印刷された自分の名前を読みとったり、パソコンの音声案内による文字の入力や印刷を体験する中で、目の不自由なかたがこれらの機器を使って情報を受信、発信できることを実感されたようです。 メディアテークでは、今後もあらゆる意味でのバリアフリーを目指して、このような講座を地道に続けていきます。 ■イベントのお知らせ retake-とらえなおされる日常- せんだいメディアテークでは4月19日から 5月6日まで「retake-とらえなおされる日常-」というイベントを開催いたします。ふだん何気なく私たちが見慣れていた通りや街の風景、生活の道具も、これまでとはちょっと視点を変えて見てみる(リテイクしてみる)だけで、まったく違った世界に見えてくるかもしれません。ギャラリー4200では、そんな見方のヒントをアート作品や社会学的な調査という手法で提示しています。たとえば、参加アーティストの光島貴之氏は視覚に頼らず、触ってみるという手法で制作されてきたこれまでの作品と「仙台という場所」がテーマとなった新作を展示します。同じくアーティストの中居伊織氏はストリートスケープという作品(立体地図に刻まれた道路のへこみをペンでなぞるとその周囲の音が聞こえてくる)でその場所の臨場感を音で再現します。誰もが同じく共有しているかに思われた空間も、アーティストの感性によってはこんなにも多くのバリエーションに満ちているのです。その他会期中には、ワークショップやシアターでの特集上映など、多くのイベント事業も開催されます。どうぞご期待下さい。 日時:4月19日金曜日~5月6日月曜日10時~19時(最終日は17時まで) 場所:6Fギャラリー  料金:無料 ■ひと メディアテークで発行している「smt letteer」 no.2に掲載された菊地理一郎さんの記事を転載します。菊地さんはDIDや盲学校でおこなったワークショップなどのイベントにも参加しています。 「情報が広げる自立した世界」菊地理一郎 中学、高校、大学と10年間、東京で学生生活をおくって、昨年、小学校の教員になるために、こちらに戻ってきました。私自身も目が不自由なんですが、現在は、盲学校の6年生2人の担任をしています。 メディアテークに来るようになった最初のきっかけは、墨字の資料をデジタルでテキスト化してくれるということを知って、生徒の教材にエッセイなどをデータ変換してもらいたいと思ったからです。点訳や朗読のサービスは今までもありましたが、このテキスト化サービスをしてくれるところはほかになくて、東京から戻ってすぐでしたが、よかったなぁと思いました。これだと、拡大してコピーを見せることもできるし、音声読み上げソフトで聞くこともできるし、保管に場所もとらないし、とても便利です。 高校2年の時に、初めてパソコンで情報をとることを覚えたときは、本当に感動しました。それまでは、テレビとラジオが主な情報源で、自分で自由に情報を探すということが、できなかったのです。子どもたちにも教えたいのですが、今のホームページは、まだまだ子ども向けということにも、音声読み上げにも配慮がたりないので、操作するだけで精一杯になったり、情報の選択に混乱したりするものが多いですね。ヤフーキッズは、比較的いいですが。そのへんを理解しながら、じっくり子どもと付き合ってくれるボランティアのかたがおられたらとも思います。それから、携帯テレビ電話を使って、外出先で、読めないものがあったら、メディアテークに映像を送って、読み上げて教えてもらうなんてこともできたらいいですよね。 仙台は、東京に比べて、新製品を体験する機会が乏しいのが残念だなと思っています。 ■お知らせ この3月でバリアフリー担当の松山由起と新妻利恵が退職することとなりました。最後に2人からの挨拶をお届けします。 松山 由起 声だけ聞いているかたには30歳そこそこの独身女性と思われるらしいのですが、夫の転勤のため4月から北海道帯広市に住むことになりました。音声パソコンを使いに来られたかた、録音図書の利用に来たかた、DIDのアテンドのかたがた、盲学校でのワークショップに参加してくれた子どもたち・先生方、ボランティアのみなさん、多くのかたと出会っては、その度に「こうすればよかった」「この次はこうしよう」と思っていました。それが「この次」と言えなくなってしまうのはとても残念です。でもきっとメディアテークには「この次」があります。皆さん、これからもぜひメディアテークに足を運んでください。 で、歳は...?謎のままにしておきましょう。       新妻 利恵 昨年4月から働きながら学校にもかよっていましたが、この度メディアテークを離れ、学業の方にさらに力を入れることになりました。不器用な私は2足の草鞋を履けず、仲間のみなさんに多大なご迷惑をかけつつ、いろいろと協力をいただき、ただただ感謝するのみです。 メディアテークで働いてからというもの、パソコンと格闘し不安と緊張の連続。それと同時に異質な空間で働くことの楽しさもありました。開館1年がたち、メディアテークはどんどん変化し続けています。変化の過程を職員として見られないのは残念ですが、これからは利用者としてメディアテークの変化を見ていきたいと思います。皆様今までありがとうございました。これからもメディアテークをよろしくお願いします。