バリアフリー通信 第6号 2002.6 ■事業記録 「retake」後日談:お銚子のかたち 3月下旬、「retake-とらえなおされる日常-」に出展する新作制作のために光島貴之さんが仙台を訪れていました。仙台駅からメディアテークまでの道のりを作品にするという新作は、東京から来た大学生たちや地元の新聞記者を応援団にして、文字通り駅から歩いてくることから始まりました。聞こえてくるものや手に触れるものを少しずつ確かめながら進む道は、とても時間のかかるものです。 さて一仕事終わり、とある和食屋で食事会となりました。初めて集う人たちが10人以上、これはもう宴会です。自己紹介に始まり、それぞれのつながりについて納得し、仙台の印象について語り合うにぎやかな夜となりました。 宴もすすみ、京都から来た光島さんに宮城の地酒を味わってもらおうと、何種類かの日本酒を注文しました。すると、とても凝ったお銚子が出てきて、一見するとどちらが注ぎ口かわからない。はて、こちらから注ぐのか、そちらから注ぐのかと角度を変えて眺めてみたり、光島さんも細かく触ってみてこちらが注ぎ口ではないかと言ってみたり、結局、試しているうちに一合の酒は注ぎきってしまいました。結局、正しい注ぎ口がどちらかは皆わからずじまい。しかし、おいしいことだけはみんな意見が一致し、楽しい夜は過ぎていきました。 そうして生まれたのが「せんだいメディアテークのある街」だったのです。 ■イベントのお知らせ 「人(サラム)・風(パラム)」 韓国現代写真の地平 せんだいメディアテークでは、FIFAサッカーワールドカップの日韓両国での共同開催を記念して、「人(サラム)・風(パラム)韓国現代写真の地平」と題した写真展を開催いたします。現在、韓国の写真界は非常に活況を呈しています。80年代から90年代にかけて海外に留学していた多くの作家たちが帰国して、その留学中に得られた成果を韓国の大学など研究・教育機関で発表することによって、新しい写真技法やさまざまな表現形態の追求が韓国写真界全体で高まってきているからだといえるでしょう。 今回は、すでに定評のある写真家と21世紀の韓国写真界を担う若い世代の写真家9名を紹介します。 例えばすでにベテランの域である韓国を代表する作家、ベー・ビョンウの作品を見てみましょう。ソナム(松の木)といえばベー・ビョンウ、ベー・ビョンウといえばソナムというほど有名になった彼の松林を撮った3部作は,まるで墨絵のような色調であり、見るものすべてにそこはかとないこの世の無常感を伝えます。一方、新しい世代はどうでしょうか。クー・ソンスーは,自分と同年代の30才になる奧さんの姿を記念写真的な手法によりモノト-ンで撮影しました。繊細で丹念に、しかし一方では被写体との距離を一定にすることで,奥さんへの愛情を保ち続けながらも夫婦という関係をもう一度見つめ直そうという姿勢が現れています。  日時:5月25日土曜日から6月19日水曜日     10時から19時  会場:6階ギャラリー b  料金:一般500円 大学高校生300円 中学生以下無料(団体割引あり)    (豊齢手帳・身体障害者手帳などをお持ちのかたは半額) ■夏休みは、親子でフシギ体験しませんか?  見たことのない光、聞いたことのない音、さわったことのない形。今年の夏休み、メディアテークのギャラリーには、不思議な科学現象を利用して作られた、楽しいアート作品が大集合します。見て、聞いて、触れて、五感で体験するアート&サイエンスの展覧会「メビウスの卵展仙台2002」。 こどももおとなも、しょうがいのあるひともないひとも、どなたにも楽しんでいただけるように、まずは手にとって体験できることを最優先し、解説にもできるだけわかりやすいような工夫をしていますので、どうぞみなさんで遊びにきてください。   日時:7月19日金曜日から8月11日日曜日 *休館日:7月25日      10時から19時   会場:6階ギャラリー   料金:一般400円 大学高校生300円 中学生200円(団体割引あり)      (豊齢手帳・身体障害者手帳などをお持ちのかたは半額) ■故杉村惇 新規受贈作品披露展  新たに仙台市に寄贈された名誉市民、故杉村惇画伯の作品21点を展示します。   日時:6月7日土曜日から6月19日水曜日       10時から19時   会場:6階ギャラリー a   料金:無料 ■お知らせ 新メンバーの紹介  3月で退職した松山由起と新妻利恵の後任として、4月1日からせんだいメディアテークバリアフリー担当となりました職員からの挨拶をお届けします。 横手美晴  みなさま初めまして。4月からバリアフリー班の仲間入りをしました横手美晴と申します。3月に専門学校を卒業したばかりで、社会に出るのはこれが初めてです。出身は岩手県の雫石町という田舎町で、その大自然の中で木登りや泥遊びをして育った私は頭を使うことよりも体を動かすことのほうが得意です。そのため、メディアテークに勤務しはじめてからパソコンと格闘の日々を送っておりますが、早く使いこなせるようにこれからも日々格闘し続けます。  メディアテークに来館された際、みなさまぜひぜひお声をかけてくださいね。  よろしくお願いいたします。 穴澤見也子   はじめまして、4月からせんだいメディアテークに入りました穴澤見也子といいます。今、習いたいのは英会話です。流暢とはいかなくても、かたことでもいいので、話してみたいです。 いままで、耳の不自由なかたたちが開催しているいろいろなイベントには、顔をだしていましたが、自分が「せんだいメディアテーク」で仕事をするようになるとは、思ってもいませんでした。 毎日が勉強だと思い、楽しく明るく元気良く、がんばっていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。みなさん。ぜひ「せんだいメディアテーク」に遊びに来てください。