バリアフリー通信 第8号 2002年10月発行 ■事業報告 1.日本語字幕入り映画上映会「長崎ぶらぶら節」報告  9月8日日曜日、日本語字幕入り映画「長崎ぶらぶら節」の上映会が行われました。 当日はくもりの肌寒い1日でしたが、1回目、2回目あわせて165名と、多くの方々に観ていただくことができました。  字幕入り映画は耳の不自由な方にも映画を十分に楽しんでいただけるように、セリフだけではなく、画面の中のさまざまな「音」も、文字や簡単な絵などを使用して、表現しています。 映画を見た、耳の不自由な方からは「親切な字幕で感激」「細かい所も良くわかった」、聴者の方からは「字があるほうが分かりやすかった」「映画の雰囲気が壊されるかと心配しましたが、必要なことですね。」、字幕に関しては「字がはっきりしていればより見やすかった」などの感想をいただきました。字幕を必要とされる方だけではなく、必要とされない方にも好評を得ることができましたが、今後はさらにどのような字幕が見やすいのかを考えていかなければという課題が残りました。  また上映前のあいさつにも手話通訳を付けましたが、「手話」に関しては、まだまだ周知の必要があるように感じられました。  今年は既成の字幕付き映画を上映しましたが、来年度は「字幕制作ワークショップ」を開催し、ワークショップ参加者のみなさんと協力してメディアテークオリジナルの字幕入り映画を制作・上映していきたいと考えています。 2.「メビウスの卵」展仙台展の報告「遊ぶちから」  「メビウスの卵」展で隠れた人気ものだったのが、作品でも何でもない、受付テーブルにのっていた立体パズル。興味があれば触ることもできるものでしたが、これを完成させようとテーブルから離れない子供たちが大量に発生しました。また、人工芝の上で何個もの白球が自動的に転がるという作品では、球がしずしずと転がる空間を共有しながら見て、たたずむという鑑賞スタイルを想定していたはずが、子供たちにかかってはフットサル場。目を離すとギャラリーとは思えないくらいの大騒ぎ。なんとかして遊びをひねくり出そうという、子供たちの「遊ぶちから」は私たちの想像を超えていました。それがいつかは本物の想像力になるかも? 来場者の方からの感想です。 「メビウスの卵展に触れてみて。」   気軽に見に行けると聞き、「メビウスの卵展」に行ってみました。 展示の中で一番印象に残っているのが光と色を扱った作品です。普段、ものを触ったり聞いたりして理解することが多い私にとって、暗い中で美しい色を思い浮かべるということは、とても新鮮でした。 目の不自由な親は子どもを連れて出かけることが難しく、子どもだけで行かせるか誰かに同伴をお願いすることが多いため、子どもも親である私達もさびしい思いをしていました。もっと前から、ともに体験し、楽しむ機会があればよかったと思っています。 ■お知らせ ないーぶネットをご利用ください。  ないーぶネットは、全国の点字図書館などが所蔵する図書の情報をインターネットを利用して提供するシステムです。このシステムにより、さまざまな図書の利用ができます。メディアテークでも、今年度からこの組織への入会が認められ、メディアテーク2階にあるパソコンを使ってご希望の図書を検索、閲覧することができるようになりました。ご希望により点字図書のデータをダウンロードすることもできます。フロッピーディスクでデータをお渡しするか、印刷して点字図書の形にしてお渡しします。点字図書に限らず、録音図書を全国の点字図書館などから借りることもできますので、ご希望の図書がありましたら、気軽にお問い合わせ下さい。 ■イベント案内 1.てえく寄席「手話落語・紙切り公演」  メディアテークの1階に寄席が出現します。  国内だけでなく、中国やロシアでも手話落語の公演をおこなっている林家とんでん平さん、紙切りの林家二楽さん、二つ目の柳家三三さんをお迎えします。 紙切りと落語には手話通訳がつきます。この機会に伝統的な話芸にふれてみませんか? ●日時:平成14年10月6日(日) 14時から15時30分(13時30分開場予定) ●場所:1階オープンスクエア ●料金:無料 ●定員:200名(入場多数の場合はやむを得ずお断りする場合があります) 2.音声解説付き映画「ナビィの恋」 (日本語字幕・託児付き)  目の不自由な方にも楽しんでいただけるよう、画面の動きなどを伝える音声解説を映画に付けて上映します。また、この映画は、セリフや歌詞など、さまざまな音を表示する字幕も付いていますので、耳の不自由な方にも楽しんでいただけます。  物語の舞台は沖縄の小さな島。牛の世話をして穏やかに暮らす老夫婦、恵達とナビィ。2人の元に、東京で暮らしていた孫、奈々子が帰ってくる。奈々子と共に、島へ降り立った二人の男が恵達とナビィ、奈々子、そして島全体を揺り動かす。男の1人は、その昔、ナビィが恋をした相手だったのだ・・。全編を通して流れる熱い沖縄の風、そして琉球民謡やオペラ、ケルト民謡など、あふれる音楽の魅力もお楽しみ下さい。 ●日時:平成14年11月10日(日)   ①13時から(託児付き・要申込)②16時から   ※開場はそれぞれ30分前からです。 ●場所:7Fスタジオシアター ●料金:500円(当日券のみ・会場でお求め下さい) ●託児希望の方は10月30日(必着)までに要申込。 ●目の不自由な方には、音声解説を聞くための受信機を無料で貸出いたします。また、イヤホン付きFMラジオでも音声解説を聞くことができますので、興味のある方は当日お持ちください。  11月下旬より映像の動きを音声で伝える音声解説を製作するワークショップを開催します。ワークショップ終了後も活動を継続し、来年度には、音声解説付き映画の上映を行う予定です。