バリアフリー通信 第13号(2003.8) ■イベント案内 てえく寄席 落語・紙切り公演(手話通訳・託児付き) メディアテーク1階オープンスクエアに今年も寄席が出現します。 耳の不自由な方にも楽しめる手話通訳付きの落語・紙切り公演を開催いたします。 この機会に日本の伝統芸能にふれてみませんか。 赤外線音声補助装置の貸出し(20台)もあります。 【出演】落語・春風亭正朝      紙切り・林家二楽       落語・古今亭菊可 他 ●日時:2003年9月28日(日)     14時から15時30分 ●場所:1階 オープンスクエア ●料金:無料(当日直接会場へお越しください) ●定員:200名 (入場者多数の場合は、入場をお断りする場合もありますのでご了承ください) 託児を必要とされる方のみ、事前申込みが必要です。託児を希望される場合は、往復はがき、FAX又は電子メールに催し名、住所、氏名、電話番号とお子様の名前、年齢(月齢まで)を書いて9月18日(必着)までにメディアテーク託児担当まで。 ■smtよりお知らせ 1.対面朗読をご利用ください メディアテークでは、様々なボランティアが活動を行っています。今回はその中の一つ、対面朗読をご紹介します。対面朗読とは、利用者が希望する資料をボランティアが直接対面して読むものです。メディアテーク2階には、対面朗読用の部屋があります。水曜、金曜の午前10時から12時、午後1時から3時までは常駐しているボランティアがいます。この曜日、時間内であれば、予約なしで対面朗読がご利用いただけます。それ以外の曜日でも、あらかじめご連絡いただければ利用できます。土日に活動しているボランティアもいますので、平日はご利用が難しい方もぜひご利用下さい。お持ちいただいた資料は勿論、館内にある本や雑誌を読むこともできます。読みたい資料がありましたら、まずはご連絡下さい。 2.日本語字幕入り映画制作中 6月、7月に行われた日本語字幕入り映画制作ワークショップ参加者が11月の上映に向けて、日本語字幕入り映画の制作を行っています。 ワークショップでは、映画の音を起こす作業や、名古屋で実際に映像に字幕を付ける活動を行っているサークル代表より、映画制作の基本を学びました。実際に活動している方の話は参考になり、参加者の緊張した表情もしだいにやわらかくなっていきました。現在はなごやかに制作活動にはげんでいます。 上映には日本語字幕だけでなく、音声解説も付きますので、お楽しみに。 上映日程などの詳細は、次号でお知らせします。 ■事業記録 街を伝えるワークショップ展 伝えることの難しさ  「こんなおもしろいところがありますよ」と言われて、連れていってもらうことはよくある。道順を確認し、どんなところかを写真ではなく、自分で触って感じる。どんなとこだろうと期待を持ちながら、自分の歩き方に合わせて、行ってみる。そんな、見える人にとっては当たり前な体験-雑誌で紹介されているところに行ってみる-というような体験は視覚障害者にはほとんどない。そんな体験の方法をワークショップとして試みることができた。そして、見える人がなんとかして伝えたいと思って作ったイラストマップや、行き先の触感図。それらは、伝えたいという思いは十分伝わるが、必ずしも視覚障害者の必要とする情報を網羅しているものではなかった。しかし、そのディスコミュニケーションこそが新たな出発の契機となると思う。見える人が見ているまち。見えない人が感じたまち。それぞれが同じものを共有することはけっしてない。でもその伝えたいという気持ちが同時に働くとき、バーチャルではない、なにかを発見する瞬間をぼくは求めている。 ワークショップ講師:光島貴之 7月5日と6日の2日間にわたって行われたワークショップでは、1日目の参加者は、光島貴之氏の指導で廃材や身の回りのものなどを使い、触って、伝える地図作りに挑戦。実際に街を歩き、集めた情報をもとに地図を作りました。翌日は、目の不自由な人がその地図を使って街を歩き、それぞれ街を楽しんだり、目的地での出来事などの感想を交わしました。参加者はワークショップを通じて、視覚に頼らずに街の楽しさを伝えること、伝えてもらうことの難しさとともに、その大切さやおもしろさを実感したようです。 1日目 1.ワークショップの説明 「このワークショップでは、目の不自由な方にもわかるような立体地図をつくり、メディアテークの周囲を伝え、共通の感覚をやしなっていただく」との説明。実際の作業は、外に出かけていろいろな街の情報を集め,整理して、立体の地図や目的地の楽しさを伝える立体物をつくること。 2.講師からの説明と立体の地図に触る 参加者がアイマスクをして光島さんの作品(立体コピーで黒い部分が浮き上がっている。)を体験した。手で確かめるのと、見て確かめる感覚の違いに少なからずびっくりしたようだ。光島さんは「いつもは杖や(誘導の)人に触って最短距離を心がけて歩く。しかしそれでは、街の様子の一部しかとらえていない。時には街に触りながら、思いがけないものに触れたり、こんなところにこんなものが、という発見があったり、いろいろな楽しさがあってもいいのでは。」という発想からこれを作成したそうだ。 3.実際に街に出かけ観察する。 2人1組に分かれた5班がそれぞれ製作する目的地を決めた街へ出かけた。 4.いよいよ立体の地図の作成にとりかかる 午後、いよいよ触る地図の作成。 作っている間はとにかく夢中。そして、全ての班が完成。その後ワークショップの感想を作品とともに簡単に紹介した。 2日目 5.余裕さえ感じられる体験者のみなさん 光島さんの自己紹介に続き、今回のワークショップの試みや楽しみ方、目的地に行くことが目的ではないことなどの説明。テーマは「伝える」ということで、見えている世界をどうやって視覚を持っていない人に伝えるか。もちろん同じ感覚では伝わらないだろうけど、「伝えたい」という気持ちは人から人にうつるのではないだろうか。 6.立体の地図や目的地の模型にさわる いよいよ立体(ルート地図と目的地のもの)に触れる時がきた。中には制作者自身がこの日も参加し、自分の班の作品説明をしたところもあった。あまりに普通の地図のイメージとかけはなれていたせいで、困惑した様子もあったが、期待感をかきたてる効果もあったようだ。 7.街に飛び出す 午後、5人の体験者がそれぞれの目的地にでかける。近いところではメディアテークから1ブロック離れただけの春日神社から、遠いところでは1キロ近くも離れた源吾茶屋など、コースによって伝わる楽しさや印象はかなりばらつきがあった。でも光島さんが言っていたように、街歩きの時間には制作者と体験者の間に「何か」が通い、その何かを共有した瞬間があるように感じた。このように、楽しんでももらえたが、距離感をあえて無視した立体の地図は混乱のもとにもなった。体験者には街歩きが楽しいこと、地図制作者には視覚意外の感覚の可能性や伝えることの大切さなど、この2日間のワークショップを通じて新しい価値観、そして次へのステップに向けての課題や希望など、本当にたくさんの収穫があった。 ご希望の方には、「バリアフリー通信」を郵送いたします。また、「拡大文字版」や「録音テープ版」「点字版」もありますので、ご希望の方はご連絡下さい。 発行元 せんだいメディアテーク 980-0821 仙台市青葉区春日町2-1 TEL022-713-4484 FAX022-713-4482