■レポート:福島■


佐藤さん
佐藤憲吉

自主映画制作活動について

 まず最初に、今回のイベントに参加させていただき、誠にありがとうございました。今回の座談会は、自主制作の映画イベントにいかにお客を呼べるかということから始まり、映画制作における制作者のスタンスなどの意見の交換がありました。
 いかにお客を呼べるのかということに関しては、チラシを工夫するなど広告をうまく活用するといった内容の意見がありました。映画制作においては、シナリオの作り方や映画作りの携わり方などの意見が交換されました。
 広告に関しては私見ですが、キレイに作ることに超したことはないです。ですが、基本的には、広告の内容に偽りのあるイベントになってしまってもいけないですし、そのイベントの中身に力を注ぐことが大事なのではないかと思います。フライヤーのデザインが格好良いから、そのイベントに客が集まるというのは副産物的な効果だと思われ、基本的には長年の知名度や信頼性をものにすることによって、安定した集客(固定ファン)を作ることができると思います。

 もちろん、フライヤーなど広告は必要です。重要なのは、お客様を集めて、お客様を喜ばすイベントになるのかどうか?というのがポイントと思われます。 自主制作の映画に、どんなに莫大な広告費をかけても、その映画自体がつまらない映画なら、「次に繋がらない」ということです。映画やイベントで顧客作り(固定客)を作るには、映画やイベントの中身をきちんと客に感動を伝えられるものを作っていくほかにはないと思います。

 第二部では自主映画制作に関しての意見交換でした。自主映画と劇場公開の商業映画との違いは、クライアント(スポンサー)の有無、予算、スタッフの数、設備、などなど全く違う映画作りの環境です。
 しかし、共通の部分もあります。映画のアイディアであるとか、シナリオ制作がそれです。 プロであろうがアマチュアだろうが、同じ土俵にあるのは、「いい映画を作りたいという思い」であると思います。 いかに映画づくりに乏しい環境であるとしても、勝負出来る部分は勝負しなくてはいけないし、面白い映画が出来るか出来ないかは、そのアイディアであるとかシナリオであるとか、自主制作とていい訳出来ない部分があると思います。

 逆にいうとプロとアマの違いはそこにあるのだと、ぼくは思います。いい映画を作るという情熱をアイディア、シノプシス、シナリオにいかに、注ぎ込めるか、物語の登場人物の思いやドラマが客に伝わるシナリオになっているのか?机上で作られるキャラクターに命を吹き込む作業は、いい映画つくりには欠かせないと思います。 それが出来ている作品は、間違いなく評価されるでしょうし、もしアマの作品なら将来プロへ繋がる作品となることでしょう。
 プロを目指す自主制作の人間は、そう言った部分には、神経を使うべきだし、それはプロとして活躍する時、間違いなく役に立つと思います。

 映画作りは人間考察に他ならないと思います。ひとの「生き様」もしくは「死に様」を描くことにより、感動は伝わります。もちろん、映画制作のテクニックもあります。演出上のテクニックは、そういった本質を描く部分がベースにあってこそのテクニックなので、テクニックだけでは、真の感動は伝えられないものでしょう。ひとを描く作業に魅せられると映画作りは止められなくなります。

 今回はそういった人間が集まったいいイベントになりました。改めて今回のイベントを開催し、また携わったみなさまに感謝致します。ありがとうございました。

佐藤憲吉
東京で映画の編集の仕事にたずさわったあと、地元福島で映像関係の仕事につく。CM製作や、「off屋」という団体イベント業のかたわら、ドラマやドキュメンタリーを製作。音楽も自分で手掛ける。
今回上映された作品は、山形国際ドキュメンタリー映画祭に出品予定。