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せんだいメディアテーク
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審査写真

2001年11月11日、「せんだいアートアニュアル2001」の審査を、建築家の阿部仁史氏、画家の佐藤一郎氏、映像デザイナーの中谷日出氏とおこなった。第一回目で、しかも応募の詳細が決定してから〆切りまであまり時間がないという悪条件が重なり、果たしてどれくらい作品が集まるのかと心配していた。結果は、234点の作品が寄せられ、広い会場をほぼ埋めつくすことができた。テーマ設定、「一般部門」と「キュービックアート部門」の区別など課題も多く、作品の質にばらつきも目立ったが、それでも第一回目としてはまずまずの成功といえるのではないだろうか。

僕にとって予想以上に面白かったのは、ジャンルを超えていろいろな作品を審査できたことだった。僕は写真評論が専門なので、普段は写真展の審査に呼ばれることが多い。もちろん、専門分野を評価することについては自信も誇りも持っているし、いい作品に出会った時の喜びも大きい。しかし、今回のように、絵画も、彫刻(インスタレーション)も、ヴィデオ作品も、そして写真も一緒に見るというのはまったく初めてで、新鮮かつ刺激的な経験だった。

考えてみれば、従来のジャンルの区分けというのは、どちらかといえば便宜的なものに過ぎない。今は、もう一度、アートを垣根を超えていかに享受し、投げ返していくのかという経験の質が問われるべき時期なのだろう。出品者の方々にも戸惑いはあったかもしれないが、「せんだいアートアニュアル」の最大の特徴というべきこのジャンル横断の試みは、ぜひ来年以降も続けていってほしい。

さて、僕が賞に選んだ中では、源間正彦氏の「庭の枯れたヒメリンゴの木からこけし人形を創る賦」という不思議なタイトルの作品がどうしても気になる。テクニック的にはやや稚拙な所もあるのだが、その呪術的な行為を思わせる造形が、実にユニークなのだ。こんな作品が出現してくるのも、「せんだいアートアニュアル」ならではの楽しみだろう。