smtライブラリーシアター

「子ども映画会」

教材ライブラリー資料の中から、第1部はベストセラー児童図書をアニメーション化した作品「ぼくは王さま」と、松谷みよこ原作の「花いっぱいになあれ」、新美南吉原作「手ぶくろをかいに」の3作品を上映しました。第2部では、目や耳の不自由な方にも楽しんでいただけるように宮澤賢治の名作童話をアニメーション化した「虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)」と第2回“おじいさん、おばあさんとわたし”作文コンクールに入賞した小学生の作文をもとにした児童劇「すばらしい私のおじいちゃん」の2作品を、音声解説・日本語字幕付きで上映しました。多くの方に映画の良さに触れていただきました。

「遥かなるクルディスタン」

映像音響ライブラリー11月の特集は各国の「女性映画監督作品」を紹介いたしました。
その中から、1999年製作トルコ/ドイツ/オランダ合作、イエスィム・ウスタオウル監督「遥かなるクルディスタン」の上映です。東西冷戦終結後世界各地で民族対立が起こる中、トルコ国内のクルド人問題を背景に、大都会イスタンブールで生きる二人の青年の出会いと友情、素朴な愛、心の触れ合いを静かに描いています。難しいテーマを扱いながらも、女性監督らしい繊細な演出とドキュメンタリータッチの映像で、成長していく青年の姿と未来への希望を映し出します。

「親子映画会『ともだちや』『山の太郎グマ』『ガッツ親父とオサム』他」

教材ライブラリー資料の中から,午前中は動物が出てくるものを中心に特集して上映しました。上映した作品は,絵本を映像化した子どもたちに大人気の「ともだちやシリーズ」「ねずみくんのチョッキ」や,動物を通して勇気や責任感を感動的に描いた椋鳩十原作の「月の峰の狼」「山の太郎グマ」などです。映像音響ライブラリーにも動物が主人公の作品がたくさんあります。また,市民図書館の児童書コーナーにも関連した絵本や図書が所蔵されています。映像だけではなく,本を通してもその感動を味わっていただけます。午後は,児童劇の作品を上映しました。「ぼくのお姉さん」「ガッツ親父とオサム」ともに。家族の在り方を考えさせてくれる作品でした。

「メトロポリス」

映像音響ライブラリー6月の特集では「SF映画コレクション」を特集いたしました。
SF映画とは、サイエンス・フィクションをモチーフにした映画の総称で、主に宇宙人や宇宙戦争、 海底探検やタイムマシンなどの題材を扱ったものを指します。特撮技術やCG、音響効果の進歩により、 圧倒的な迫力を得た現代のSF映画ですが、技術のない時代にも、豊かな創造力によって独創的な作品が数多く生み出されていました。
今回は1926年製作、フリッツ・ラング監督のサイレント作品の上映です。
映画史上初めて描かれた未来都市の景観、アンドロイドの姿はSF映画の原型といえるでしょう。

「とべない沈黙」

映像音響ライブラリーでは4月の特集として各国の「監督たちのデビュー」作品を展示いたしました。
今回はその中からの上映です。みずみずしい感覚に満ちたものや世に衝撃を与えた作品など、 初期作にはそれぞれ監督の個性が強く打ち出されたものが多いですが、 この「とべない沈黙」も斬新なカメラワークによる映像で当時評価の高かった作品です。
また、登場する俳優たちの圧倒的な存在感も見所の一つと言えるでしょう。 現在も活躍している黒木和雄監督の他作品と見比べると、その芸術性の原点が見えてくるはずです。

「アシク・ケリブ」

「アシク・ケリブ」は、グルジア出身の映画監督、セルゲイ・パラジャーノフの作品です。パラジャーノフは当時のソビエト権力から弾圧をうけ、長い間思うように映画製作が出来ない状態にありました。残された作品は生涯で、短篇も含め十数本あまり。そのうち公開され、日本で見ることが出来るのは、わずか4、5本ではないでしょうか。どの作品も個性が強く、力にあふれ、その鮮烈な色彩と、エキゾチックで、かつ、どこかアジアや日本をも感じさせる映像は、一度見たらそのイメージが脳裏にやきついてはなれなくなってしまうかもしれません。

「親子で楽しむ映画会」

メディアテークからの一足早いクリスマスプレゼントです。 心がポッと暖まり、ともだちの大切さを教えてくれる「ともだちくるかな」、ディズニー映画「ミッキーマウスとゆかいな仲間たち」、閻魔大王に地獄へ落とされた4人が地獄の鬼を笑い飛ばしていく「じごくのそうべえ」、命の尊さや互いに思いやりいたわり合うことの大切さなどが感動的に描かれている「走れタンコロひかりのなかへ」の4作品を親子でお楽しみください。

「マルタの鷹」

フィルム・ノワールとは、主に1940〜50年代にアメリカで製作された闇の世界、都市の暗黒社会で生きる犯罪者や刑事、女たちを描いた作品の総称であるといわれています。その最大の特徴は作品全体に感じられる暗澹とした雰囲気、閉塞感です。光と影を強調し対立させた照明は、俳優たちの深く濃い影を作りだし、法と悪の間を揺れ動く人間の心の闇、多くの矛盾を浮かびあがらせます。しかし、重苦しく絶望的な主題であるにもかかわらず、その光と影に内包された暴力、孤独、退廃といった独特のスタイルは私たちを惹きつけてやまず、その流れは現在でも作品のジャンルを超えて受け継がれています。

USISフィルム「アメリカ宇宙編」

USIS(United State Information Service:アメリカ広報庁)フィルムとは、1953年、第2次世界大戦後の占領政策の一環として行われてきたCIE(Civil Information and Education)映画計画にかわり、日米の情報・文化交流をはかるために作られたものです。かつては仙台でもアメリカ文化センターで上映されてきましたが、その閉館後、仙台市教育委員会に移管され、仙台市視聴覚教材センターに保管されることになりました。その際冷戦問題やヴェトナム戦争などをあつかった映画はアメリカ大使館から返還命令を受け、140本あまりが収蔵されることとなりました。 USISフィルムの上映は3年ぶりです。今回はアメリカの宇宙開発に焦点を当て上映します。アポロ11号の月着陸など今日では貴重な映像です。

「ぼくの伯父さんの休暇」

ジャック・タチの作品には、いつも乾いた空気が流れています。避暑地の海辺で優雅にバカンスを楽しむ人々、新しいモダンな家で暮らす一家、そこに主人公ユロ氏が加わることで、様々な騒動が起こり始めます。丈の短い服に帽子にパイプ、滑稽な動きは笑いを誘いますが、次第に回りの人々の方がおかしく思えてしまう。そこには物質文明に踊らされる人間に対する、タチの監督としての客観的で冷静な視線が感じられます。しかしタチは突き放すだけでなく、あたりまえの日常を丁寧に描くことで、当人が意識しないおかしさを捉え、少しだけ優しく幸福な気持ちにさせてくれます。あなたもきっと不思議な魅力を持つユロ氏に会いたくなってしまうでしょう。

「禁じられた遊び」

のどかなフランスの田園地帯を舞台に少女の心の成長を静かに描きながら、戦争の悲惨さと痛ましさを強く訴えかけるルネ・クレマン監督の名作です。哀愁を帯びたギターの調べと子役たち二人の名演技があまりにも有名ですが、「現在」という視点から鑑賞することで作品の新たな面に気づくかもしれません。全編にわたり詩情を盛り上げるスペイン民謡「愛のロマンス」は、世界的に有名なギタリスト、ナルシソ・イエペスが演奏しています。長年多くの人に愛されてきたクラシック・ギターの名曲であり、映画の上映によって大ヒットし、一般には「禁じられた遊び」のタイトルでも知られています。

「そして船は行く」

全編ローマのチネチッタスタジオ内で撮影されたこの作品は、「想像と現実の間に境界線を引かない」というフェリーニによって故意に創り上げられた不思議な人工的映像美に充ちています。時間を失い海を漂う客船は、閉ざされた世界の中で繰り広げられるオペラの舞台と重なり合いながら、数々のクラッシックの名曲に送られ破滅の予感と共に戦争という悲しみへと向かっていく。美しく詩的でノスタルジックなフェリーニ晩年の作品です。音楽はジャン=フランコ・プレニィツィオ。フェリーニ映画に欠かせない存在だったニノ・ロータに代わって、楽曲の魅力を最大限に生かした映画音楽を創り出しています。

「雨に唄えば」

舞台はサイレントからトーキーへ転換期のハリウッド。スター俳優ドンは共演者リナと新作の撮影に入っていた。彼らの作品も途中でトーキーへ路線変更されることになり、ドンは悪声のリナの代わりにコーラスガールのキャシーを吹替えにしてミュージカル映画をつくることを思いつく。主演のジーン・ケリーが、どしゃぶりの雨の中、傘を小道具に水溜りを飛び跳ね、歌い踊る場面は素晴らしく、その豊かな感情表現で見る者の気持ちを解きほぐし、空想の世界へと導きます。映像の迫力と調和する音楽、ミュージカルの魅力がぎっしりつまった作品です。