冬から春へと向かう晴れた日に、 まだ雪の残る山肌を撫でて風に吹かれ飛んでくる細雪のこと。 ひらひらと風に舞い散る桜の花びらのように、はかない雪・・・。
東京、春の明け方・・・ 満開の桜の木の下で目覚めた澤城廉司(さわきれんじ)は泥酔していたため、 隣にいる女が誰なのか思い出せない。その女、冨田ゆり子は言う、 「私のこと憶えてないの?どうするの!?北海道。」
酔いにまかせてゆり子と北海道へ向かう廉司。
冬枯れの寂しい北海道の景観が広がる。
そんななか、二人が借りたのは、あざやかなパステルピンクのレンタカー。
ゆり子は不安を抱えながらも、娘に会えるかもしれないというささやかな希望を抱いて、母の元に向かう。
車の中でぎくしゃくとした会話を続けながら、少しずつ廉司はゆり子との出会いを思い出していく。
監督はこの映画が遺作となった相米慎二(そうまいしんじ)。 ゆり子(風俗嬢レモン)役に小泉今日子(こいずみきょうこ)、 高級官僚の廉司役に浅野忠信(あさのただのぶ)を迎えておくる、希望と再生の物語。