参加者の感想

 今回僕は初めてフォトゼミに参加した。普段、僕がファインダーを覗くときというのは主に自分の作品の記録程度でしかなく、作品として写真を撮るということは全くと言っていいほど無いが、今回の講師であった澤田知子さんの作家としての生活と、作品に現れる彼女の「本当の姿」に興味があったからだ。

 僕はしばしば自分の作品の中に僕自身を登場させるが、澤田さんの場合、絶対的に自分自身をモデルに作品を作り出している。「個性重視」と言われて育ってきた同じ70年代生まれということもあるだろうか、意識の中に共通することが多いと感じたが、そこに至るまでの澤田知子像、実に屈託のない普段の澤田知子像を知るとても良い機会だった。
 木村伊兵衛写真賞を受賞し、国内外での展覧会や講演を多数こなし、マスコミの出演も多いにもかかわらず、いまだ美術だけでは食べていけないという。
アルバイトや派遣社員をしながら制作し、しかしながらそのアルバイトをしながらも常にアンテナを張って自分の作品に結びつける要素を探りあてるというのは、作家たる所以であろう。それから仕事の受け方。澤田さんは殆どのオファーは断らないが、やはり自分の作品にはプライドを持ち、作品のコンセプトが歪められるような扱われ方をしそうな場合は断っているそうだ。勿論、お金が余るほどあるわけではないし、次から次へと作品を制作するにはお金がかかるので、1つでも多く仕事は受けたいところであろうがきちんと線引きをしている。その姿勢にはとても共感できた。
 また、作品に対して、性差については特段の意識は持たずに作品を制作しているそうだが、やはり女性である、作品タイトルの画数を占いに頼って付けてというエピソードにはヤラレタ、と感じた。

 その作品はその作家からしか生まれない。作家がもつ世界観はその作家がどういう生活をしているか(してきたか)を垣間見ることは作品を読み解く1つの鍵になるし、表現者としても鑑賞者としても作品を楽しむための1つの要素だと思う。

タノタイガ

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