出品作品情報
[193] 隠せなかった傷跡
- 作家名
- 千葉宏美
- 展示フロア
- 5階
- 素材、材料
- 紙,絵の具,パステル
- サイズ
- 90cm×200cm×10cm
- 作品の説明
- 長い間、土の中で地上での生活する準備をし続ける蝉は、やっとのことで地面を踏んでから1週間ほどしか生きることが出来ない。そんな蝉に今年の夏の日に出会った。その日は雨の強い日で、本当に悲しいことであるのだが、それらの蝉が雨に打たれ命を落としていたのだ。隠せなかった傷跡と共に。その後、雨がやむと、それでも生き残った蝉達が前よりも強く泣いている。精一杯に。今日という日までで、のうのうと生きてきた自分は、そんな蝉の泣き声の届く場所にいることが申し訳なく、明らかに不釣合いであるように思えた。しかし、いつまでたっても甘ったれた気持ちの私はただ、その場に居続けることで、蝉から勇気を受け取りたかった。