出品作品情報
[234] WHITE FEMTO
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- 作家名
- 朝比奈建
- 展示フロア
- 6階
- 素材、材料
- 感光性樹脂、ABS樹脂、パンチングメタル、木材、鉄材、水性インク、紙
- サイズ
- 幅1800×高さ2100×奥行き900mm
- 作品の説明
- タイトルの「WHITE FEMTO」とは、「白い1000兆分の1」を意味します。この作品では指紋の判子を1000人分制作しました。「1000兆」という数字は、現代の鑑定法で指紋が合致する確率です。それぞれの背景に意味があり、価値のある指紋というものを捺印という行為によって身体から切り離し、さらにそこから指紋の判子を作成します。身体的アイデンティティを切り離し、文化的アイデンティティに再構築することになりますが、「指紋判子」には一般的な印鑑とは違い名前が記入されておりません。つまり、「誰か」を特定できるアイデンティティではなく「誰か」を特定できないアイデンティティとなります。何(誰)を指しているかは不明であるが、確実に誰かたった一人を指しているものなのです。「空白のアイデンティティ」と1000個という数により生まれる圧倒的に巨大かつフラットなイメージ。さらに特定の「誰か」を指し示されないことにより生まれる全ての人間の差異。意味と価値を脱ぎきった指紋判子1つ1つを空白といった意味での「白」と位置し、それらを結合体である作品全体を「WHITE FEMTO」とします。1000人分という数字は、それによって得られる作品のサイズ、1800×2100という巨大な迫力と1000人より先、世界総人口60億人まで想起させることの出来る数です。具体的にまず1000人から指紋を採取します。それをコンピュータ上で同じ大きさに調整、正円に切り抜くことにより指紋の紋様の強調、つまり記号化を推進します。これを製版用のネガフィルムに出力し、そこから元の指紋と完全に同じ紋様がでる樹脂印面を作成します。それを1000個作成し、象牙のような質感の白い台木に接着し、判子を作成します。判子と同色に塗装された1000個の穴の開いた壁面に判子を差し込みます。これにより一見小さな突起が無数にでている白いフラットな壁面が誕生します。一つ一つが手にとって見ることができ、また実際に押印してみることが出来ます。
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