出品作品情報
[27] 今、ここ、この、これ
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- 作家名
- 門脇篤
- 展示フロア
- 6階
- 素材、材料
- サイズ
- 作品の説明
- 「ここではないどこか」は、文字通り「ここ」でない場所を指しているように見えながら、その実「ここ」を基点にしている。固有名で指定されもしないのに「ここ」と示されるだけで、なぜか(当然ながら?)特定される「ここ」を前提としている。「ここ」なしには成立しないという意味で、私にとってこの「ここではないどこか」という言葉は「ここ」でないどこかのことよりもずっと強く「ここ」について意識を向かわせる。つまり、「ここ」「今、この時」「この私」・・・。しかしこれはある種の言葉のもつ病なのかもしれない。「ここ」をなにか特別なもののように感じるのは、これもまたそれと対応した視点、つまり、「ここ」のない、いわば神の視点の存在を暗に含んでいるからだと思う。いわゆる近代的な視点で等価な空間、地図や年表を上から眺めるような超越的な視点、あるいは「この」視点は「あの」視点と入れ替え可能で思うことを可能にする。「なぜ私はここにいて、あそこにいないのか」という疑問が疑問として成立すること許すような視点、そこから見られた「ここ」。そうした違和感や含み、ゆがみが私を素直に率直に、「ここではないどこか」へ向かわせないのかもしれない。あるいは、それが「ここではないどこか」という言葉に対して私が持つ奇妙な手触りの核心なのだろう。そうした戸惑いのようなもの、違和感、質感を表現できたらと思い、この作品を制作した。
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