せんだいアートアニュアル2005
出品作品情報
[6] 「完・ファイン・ナンシャレ」
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- 作家名
- 浅野琢也
- 素材、材料
- 樹脂製板ダンボール ポケットティッシュ
- サイズ
- (164.5×164.5×2)
- 展示フロア
- 6階
- 作品の説明
- 街頭で配布されている様々な庶民金融の広告用のポケットティッシュを集めてタイルの様に貼り「完」と言う文字を作る事で、完済までのストーリーや人間ドラマが、「借りる側」と「貸す側」の両方の視点で互いの利益となり取引の完了が至福の瞬間となる様にと画材等の材料費を極限まで押さえて表現やメッセージ性をいかに高める事ができるかに挑戦した作品である。ステージ同様に人生も幕が上がり、幕が降りる。映画を見た後の「完」をみる至福の時、「Fine」から「完・ファインニンシャレ」と言うタイトルにした。「完」に至るまでのストーリーやドラマは、作品を観る人の経験やイマジネーション(想像力)に委ねる事で心理的に参加してもらうタイプのアートである。作品は当然、テイッシュペーパーとして実際に使用可能である。1m62cm四方の面積をポケットティッシュで埋め尽くし「完」の文字に明るい色を配置し至福感を演出する。ソフトな色合いで「至福の時」と言う課題のイメージする奥行きを広げる。金貸しが成立しないのは戦争の時である。いつ死ぬか分からない人に融資を実行出来ない。ティッシュの入手の困難さが、平和の不安定さにならないと良いのだが・・・元々、戦争中に医療用に発明されたティッシュペーパーであるがスッキリするのに使った後は、たぶん「至福の時」であろう。国民芸術や市民芸術や大衆芸術と言う物は、古くからありマンネリ化している感をえる。絵画や写真といった手法を使う事で当事者性が薄れ第三者としての立場が強まり傍観者となり筆や写真機を持った創作ではない作者と作品が混ざり合って出来るドロドロした感覚を表現した。貧しい芸術/アルテ・ポーヴェラと言う表現からミニマリズムと言う表現まで様々な手法は元々あるが作者本人が両方の当事者として体験した上で庶民の暮らしを筆を使ったりカメラに記録する現在の表現手段に疑問を感じ、実際に誰もが手にしている物を使用し日用品そのものを作品にする事で表現する「庶民芸術」と言うジャンルを、この作品により実験的に産みだしジャンルとして開拓はしたが、このジャンルが成長・確立となるか別の方向に変化するかまでは、作者自身にも解らない。
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