■目次へ ■本文へ

 

せんだいメディアテーク
980-0821
仙台市青葉区春日町2-1
電話 022-713-3171
ファックス 022-713-4482
office@smt.city.sendai.jp
http://www.smt.jp/

 

写真

せんだいメディアテークを初めて訪れた時、「あ、ここは大人のための児童館だ」と思いました。ガラス張りのショーケースのような空間の中には、好奇心のつまった本やCDやVIDEO、絵の具や粘土をこねくりまわした作品が勢ぞろい。それはボクが少年時代に通った、公園の中にある市立児童館の、絵本や積木やクレヨンの混じった匂いによく似ていました。

ボクは今東京に住んでいますが、悲しいことに「大人の児童館」と呼べる空間はありません。立派な美術館や図書館はもちろんたくさんあります。しかしそれらは市民生活とはかけ離れたものばかり。仮に楽しい「大人の児童館」があったとしても、大量の人間が押しよせ、花見の場所とりのようにごった返してしまいます。文化を育むには、知識を学ぶというインプットと、それを熟成させる「ムダな時間と空間」が必要です。

ボクがいた大学の古い図書館にはそれができる愛すべき場所がありました。図書館の4階に、だれもやってこないガラス張りのテラスがあり、一畳ほどの黒い革張りのソファーが置いてありました。本を読み疲れた後は、そのソファーにごろんと寝ころび、ポカポカと日光をあびながら居眠りをしました。眠りながらも、頭の中を整理し、ヒラメき、モノ作りのアイデアをたくさんまとめました。今思えば、なんと豊かな時間と空間。メディアテークはその図書館にも似ています。

メディアテークで「ボーッ」とされている仙台市民のみなさんは、その、「ボーッ」とできる場所のありがたさを、「ボーッ」とされているのでわからないと思いますが、ボクのような外の人間から見ると、うらやましくて仕方がありません。是非みなさん、この「大人の児童館」でボーッとして、豊かな文化を育んでください。