2015年11月08日更新

ギャラリーツアー 第1回


2015年11月8日に第1回目のギャラリーツアーを行いました。ツアーのホストは、メディアテーク学芸員の清水建人と清水チナツです。作品の見どころや裏話も交えながら、各展示をめぐっていきました。

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▲いがらしみきおさんの展示《こうずんさん》では、架空の郷土伝承資料館が作られており、中には庚申信仰を素材に描き下ろされた漫画などが展示されています。5部屋ある資料館は移動する度に、少しずつ変化していることに気づきます。清水建人学芸員から、いがらしさんの様々な漫画にも登場するモチーフも展示されているといった裏話も。

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▲みやぎ民話の会「東北伝承の民話語り」の展示では、みやぎ民話の会が採訪している映像記録の中から4つの話を紹介しています。参加者より、真っ直ぐな視線で語る語り手の映像を観て「語り手が語りのために身体になっているようで、すごい!」という感想があり、清水チナツ学芸員から「聞き手をつとめた小野和子さんへの信頼はもちろんのこと、映画監督の酒井耕さん・濱口竜介さんにより撮影方法が工夫されており、まるで観る側に語りかけてくるような眼差しの映像となっている。そしてずっと観ていると、もっと奥の別の世界を観ているような視線にも感じる」と話がありました。

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▲山本高之さんの《窯神のいわれ》は、子どものない老夫婦に拾われて育ったものぐさな醜男が、ある日突然、「へそ」から金の粒を生み出すようになる「かまがみのいわれ」という民話から発想を得たもの。山本さんは、金の粒を生み続ける男を自分の姿に重ねて制作しています。実は、この作品も1日に1粒の玉を生み出しているそう。ただし、いつ出るかわからないので、見ることができた人は幸運の持ち主!?

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▲山本高之さんの《未来の東北博覧会》は、1987年に仙台港で開催された「'87未来の東北博覧会」を題材としています。当時を知る大人たちのインタビューをもとに、未来を生きる現代の小学生や中学生が制作した、パビリオンやポスターが展示されています。展示を見て「'87未来の東北博覧会」の会場に「観覧車があったことを覚えている」というような話も参加者からありました。また、清水建人学芸員より「80年代末に想定されていた科学技術による未来の都市計画が、21世紀の現在において険しい道に陥っていることを考えさせられる」という話があり、山本さんが作品に込めた批評性をうかがうこともできました。

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▲田村友一郎さんの《ソテロの骨折》は、仙台という人々の流動の多い都市で、民話のような物語を育んでいくことが可能なのかに注目しています。仙台に住んでいる外国人へのインタビューをもとに制作された物語りは、骨伝導という方法をとって鑑賞者に伝達されます。骨伝導という手法は、「うたうしゃれこうべ」という民話をもとに提案されたそうです。実際に体験した参加者は驚いた様子でした。耳をふさいであごを付けるとよく聴こえるとのこと!

第1回目のギャラリーツアーに参加していただいた皆様ありがとうございました!

次回のギャラリーツアーは11月21日(土)に開催します。出品作家の1人であるいがらしみきおさん(漫画家)と、今回のいがらしさんの展示をディレクションしたクマガイコウキさん(映像作家)がツアーの案内人をつとめます。こちらよりお申し込みの上、ぜひご参加下さい。


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