報告 2021年12月08日更新

まち・ひとスケープ#20 「ふたりパフォーマンスを追う」


まち・ひとスケープでは街の風景や人々の営みを音や映像などで記録しています。

今回は、「イメージはどう伝わるのか/伝わらないのか」ということに注目して活動している、桐島レンジ・佐藤一恵の2名によるギター演奏+身体表現+朗読のパフォーマンスを紹介します。提示されたテーマから連想し表現したイメージが、人や環境によって様々に異なった印象を持たれ、予想外の反応が返ってくることに関心を深めています。この活動は20218月からスタートし9月、10月にも公演を行っています。

パフォーマー佐藤一恵はこの活動について次のように語っています。

『桐島レンジが演奏する音源から着想を得て、佐藤が身体表現と朗読をするというパフォーマンスはアートイベント「定禅寺2×3」という、仙台市定禅寺通りのケヤキ並木の緑道をステージにしたイベントで初演を行い、「カフェ、ルフラン」、「絵本と木のおもちゃ 横田や」でも上演してみたものですが、さまざまな空間で行うことでの作品の変化を観察してみました。        

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カフェ・ルフランにて 桐島レンジ

桐島は「アメイジング・グレイス」をテーマメロディとし、彼が日本のゴスペルと考える「童謡」を奏でます。イントロが流れてきただけで何の曲かすぐにわかるというような、親しみのあるものです。私、佐藤がこの音源から連想したのは「ゼロ戦の飛行士」でした。

そこから「不時着」「サン=テグジュペリ」というイメージがわいてきて、オープニングは空を舞うようなギターの爪弾きに乗って、空を優雅に飛ぶように登場します。ところが飛行機は何等かのトラブルが起きて不時着してしまう。

図2.jpg

私は不時着した 佐藤一恵

そこからはサン=テグジュペリの著作から引用した一文や、突然化学式を説明するような文章を朗読する。ギター演奏と朗読は何の関連もなく、朗読も脈絡なく唐突に始まる・・・観ている観客にはどこかに置き忘れてきた記憶がよみがえってきたり、読み上げられた化学式を解釈しようとしたり。いろいろな反応がありました。

絶えず人通りがあり、ビルの立ち並ぶ大通り、飲食を楽しむ場所であるカフェなど、その場・そこに在る素材によって作品は影響を受け、少しずつ違うもの になっていきました。これからも様々な場所で上演し、作品を進化させていきたいと思います。』

今後、できるだけライブのダイナミズムを残せる方法を模索しながら公演取材記録をまとめる予定です。


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