メディアテーク運営協議会報告書
1.問題意識

国際的に高い関心

せんだいメディアテークは、斬新な外観と機能を持つ建物として世界的に高い評価を得ており、平成15年度日本建築学会賞第10回公共建築賞優秀賞など国内外の重要な賞を数多く受け、またメディアテークの建築模型は、フランスのポンピドーセンターのパーマネントコレクションになっている。多くの視察・見学者が国内外を問わず訪れるなどのパフォーマンスを建築中から発揮してきたが、オープン後も毎年約100万人の市民が利用する人気施設としてその存在感を保っている。またこの間、建築メディアを中心に世界中に「Sendai」が紹介されるなど間接的な効果も大きく、経済学で言うところの外部性効果外部性効果メディアテークの存在が、直接の利用者に留まらず文化的環境や、経済波及効果、仙台市のシティセールスなどにも大きな貢献をしていること。を多くたたき出している。

市における横ならび主義的な評価

一方、日本の自治体にとって21世紀初頭のこの5年間は、財務状況がますます厳しくなった時期であった。そうした状況を受けて導入されたのが、市民をサービスの顧客と見、公共施設の運営における合理化・効率化を希求する「ニューパブリックマネジメントニューパブリックマネジメント民間の経営理念や手法を導入し、公共部門の経営の革新を図る考え方。」の概念であり、指定管理者制度による施設運営の市場化などが具体的施策として展開されている。そういった影響もあってメディアテークは、経済の外部効果を生み出しているにもかかわらず、短期的経済合理性の厳しい査定をうけているのである。

困難なコンセプトの位置づけ

もちろんメディアテークもこうした状況を甘受してきたわけではない。先駆的な役割を内外に掲げるべく、条例の設置目的に加え、開館以来下の三箇条のコンセプトを掲げてきた。

  • 「最先端のサービス(精神)を提供する」
  • 「端末(ターミナル)ではなく節点(ノード)である」
  • 「あらゆる障壁(バリア)から自由である」

しかし、新しい時代の要件を端的に表現しているこの三箇条も、運営の現場においてはその抽象性ゆえに、具体的目標とそれに基づく評価という分かりやすい枠組みを求める声に常にさらされてきた。これらをリテラシーリテラシー読み書きする能力、理解力。の欠如として遠ざけることは簡単だが、それでは問題の解決は遠のくばかりである。管理者、職員、利用者さらには設置者が、自分たち自身の問題としてこのコンセプトを解釈し、これに則った施設活用の方策を具体的に提示・実現していかなければならないのである。

そのためには、全市の公共施設の中での位置づけや役割分担をふまえつつ、メディアテークの果たすべき役割を考える都市的・総合的視点が必要である。それに加えて、施設利用者としての市民を巻き込んだパブリックインボルブメントパブリックインボルブメント関係する市民に情報を公開し広く意見を集めて計画づくりを行っていくこと。を通して随時発見されていく、草の根的アプローチも並行して求められているのである。

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せんだいメディアテーク
sendai mediatheque
http://www.smt.jp/
office@smt.city.sendai.jp