せんだいメディアテーク



せんだいメディアテークをもっとよく知るためのさまざまな情報を、 副館長/企画・活動支援室長、佐藤泰がお届けします。

13「気仙沼の職人さん」

今回はチューブではなく床についてです。普通の建物では柱と柱の間に梁をわたし、その上に床を乗せて上階を作ります。柱と柱の間隔が広くなればなるほど、強度を保つために梁は太くなりますが、階下の天井と階上の床はそれを挟み込んで作るため、大きなビルの場合床と天井の間隔は1mを超える場合も少なくありません。ところがメディアテークには梁を使わず、強靱な床が直接取り付けられているため、階下の天井から階上の床までたった40センチしかありません。それだけで強度が保たれる秘密はいわゆるハニカム構造、身近なもので言えば段ボール、飛行機のはねや船の甲板も同じ考え方です。それらに共通するのは強くて軽くて薄いこと。これによって、メディアテークは各階の有効天井高を増やし、自重を軽減することに成功しているのです。そしてこの床を作る時の立役者になったのが気仙沼の造船技術。鉄板を溶接して正確にハニカム構造を作るためには造船所の職人さんたちの熟練した技術が不可欠でした。1階の天井を見上げると、気仙沼の職人さんたちが残した溶接作業のあとをそのまま見ることができます。

(2008/07/02)


  • 建設時の溶接作業の様子
    建設時の溶接作業の様子 (協力:伊東豊雄建築設計事務所)
  • 1階の天井で溶接作業の跡が確認できます
    1階の天井で溶接作業の跡が確認できます

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