ことばの庭T 風の筆、たなびく声 沢村澄子+白石かずこ+翠川敬基

出演者紹介

沢村 澄子/書 家

SAWAMURA Sumiko

1962年大阪生まれ。 新潟大学教育学部特設書道科在学中から、個展を中心に作品発表を開始。 リズミカルで清々しい筆致を持つ一方、まっすぐな精神はダイナミックでスケールが大きく、書展での数々の受賞に加え、2001年度書の分野から初めて岩手県美術選奨を受けるなど、その独創性にジャンルを越えての評価が高まっている。 国内外で展開されているワークショップもその都度ユニーク。 2000年第二回ウラジオストクビエンナーレ招待。書論、エッセイの執筆も盛んで、書道誌『墨心』に「また、詩を読もう!」を連載中。

白石かずこ/詩 人

SHIRAISHI Kazuko

1931年カナダ・バンクーバー生まれ。早稲田大学在学中に第一詩集「卵のふる街」を、以後、『聖なる淫者の季節』(H氏賞)『砂族』(歴程賞)『現れるものたちをして』(読売文学賞・高見順賞)『浮遊する母、都市』(晩翠賞)など次々に発表。ジャズと詩の朗読こよなく愛し、国際詩祭でも活躍。紫綬褒章受賞時には「自由奔放な人生観による独自の作風を創造」と評され、仏のリベラシオン紙では「詩のロックスター」とうたわれる。評論、エッセイ、翻訳など多数。

翠川 敬基/チェリスト

MIDORIKAWA Keiki

1949年長野県生まれ。19才で沖至トリオのベーシストとしてデビュー。伝説的ジャズグループ「ナウミュージックアンサンブル」や「FMT」などで活躍。70年代半ば頃より楽器をベースからチェロに変える。以来30年以上にわたって日本の先進的なジャズの中で常に活動。1989年「緑化計画」を結成し率いる。他ジャンルとのコラボレーションにも積極的に参加。エッセイストとして堀内誠一との共著『音楽大好き』など4冊の著書がある。


土澤のこと


板壁
街かど美術館アート@つちざわ
沢村さん作業写真
撮影/田代晃

2005年秋、沢村は岩手県和賀郡東和町土澤でとり壊し直前の古い板塀にノミを打ちつけます。8メートルにわたって刻まれたのは東和町の人口や面積、萬鉄五郎の「画家は明日を憂えてはいけない。今日、今、最も忠実でなくてはいけない」という言葉、宮澤賢治の詩「雨ニモマケズ」。最後には「鉄五郎ノ東和ト賢治ノ花巻二〇〇六年合併ス」と記されます。

―(略)とり壊されるのならホッてみたい。東和町は来年花巻市と合併して東和町でなくなってしまうのです。ならば、その東和町のことやそこに暮らす人々のこと。この町のシンボルのような萬鉄五郎のことなんかを書きたい。いや書くくらいでは何か物足りない。もっと強く、刻み付けたい。漠然とした、しかし切実な思いがわたしの中に湧きました。(略)恋文もあったでしょうね。うれしいものもあった。切ないものもあった。怒りも祈りもあって、書とは昔からそういうものでした。オモイを書いた。 (『墨心』四六八号より抜粋)


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