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せんだいメディアテーク
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卸町がアーツタウンとなる日写真

最近、やたらに夢想することが多くなった。この時期、懐かしいことを思い出したり、未来を夢みたりするにはもってこいの季節だ。「アーツタウンおろし町」構想もそのひとつだ。流通、とりわけ卸業の人々が都心を離れ、この地に集団で根を下ろしてから37年にもなるそうだ。卸業自体が当時とは様変わりし、卸町も変わってしまった。空き事務所や空き倉庫が目立ち、街路樹の美しさがいっそう際立つもの悲しさ。感傷的になりがちなこの風景のなかで、10-BOXだけが独り壮大な夢をみている。―今は、世界有数のファッション街となったN.YのSOHO地区も、その昔は、ちょうどこの卸町のような空き倉庫が並んでいたそうだ。いつのまにか倉庫のロフトに、若く貧しいミュージシャンや美術家など芸術家の卵が住み着いた。天井の高い大きな空間の倉庫はアトリエや練習場であり、時には自前の作品を発表する個展や演奏会場となった。アーチスト・イン・レジデンスの草分けである。程なく噂を聞きつけ、人々が集まるようになった。―10-BOXは、近いうちに「演劇道場」を開設したいと考えている。この20年間、演劇に必要な様々な知識や技術をそれぞれ個々にワークショップの形で提供してきた。2003年1月に実施した「舞台技術総合講座」はそれらを統合したものだったが、この講座の成功は我々に大きな自信を与えた。文化先進国の欧米諸国には、独立した「演劇大学」がある。10-BOXでは、日本人らしく「演劇道場」で演劇に必要な基礎知識や技術を楽しく修行する「白帯コース」、もう少し専門的な「黒帯コース」を考えている。2コースを修了すれば免許皆伝となる仕組みだ。スタートは、短期集中型となるが、ゆくゆくは、「演劇大学」以上の「演劇道場」がこの卸町に定着することを心から願っている。街路樹が美しい卸町のロケーションは、大学のキャンパスそのものだ。ケヤキ並木の下を塾生たちが、演技論を戦わせながら闊歩する姿を夢みる今日この頃である。