講評会・シンポジウム「アニュアル・レヴュー」
11月11日、今回のアートアニュアルのメイン・イベント「アニュアル・レヴュー」が行われました。
オープンな雰囲気で行われたこの講評会・シンポジウムでは、4名の審査員の方々が鋭いコメントを交わしながら、
今回の展覧会の楽しみ方を提示されました。
来場された受賞者の方からのコメントも交えて、
200名近い来場者を迎えた会場は熱気にあふれていました。
審査結果
アニュアル2001賞
- 阿部仁史氏 選
- HAMON 福士かおり、野地由美子、佐藤信光(F-128)
- オープンなメディアテークの展示空間に、違和感の波動を静かに発していました。
小さいけれど、意外に大きな空間の拡がりをもっていたと思います。
- My LeftHand is Your Right Hand 光井清陽(F-199)
- 体の小さい動物の時間は早く進むそうです。犬と人が場所と時と経験を共有しながらも、
違う時間に生きている、そんな面白い体験をさせてもらいました。
- 飯沢耕太郎氏 選
- SENDAI B/V 「B/V」(F-5)
- 丁寧で、しっかり地に足がついた観察力。観客との対話の試みがおもしろい。
個々の写真家のまなざしの違いが、もう少し明確に見えてもよかったかもしれない(1人の作品に見えてしまう)。
- HAMON 福士かおり、野地由美子、佐藤信光(F-128)
- クール(宅急便)な、抑制されたユーモア。なかなかしぶいコンセプト。ときどき動かなくなるのが難。
- 佐藤一郎氏 選
- 叫び−2001− 佐々木 由紀子(F-12)
- 光と闇が虹の存在を現わすように七色の砂丘が連なる風景に人間ともラクダともつかない2匹の生物がたたずむ。
おそらくアフガニスタンの現在と私自身を重ね、生きるエネルギーの渦巻が満ちることの尊さを求めている。
- 波紋 後藤 郁子(F-83)
- 平山郁夫さんのテーマともどこかで通じる光の存在を感じさせる作品である。自然を見つめる眼差しが、
さらに自らの内面を照らし出す境地につながるのではないかと期待させる。丁寧な仕事ぶりも好感が持てる。
- 中谷日出氏 選
- 色は匂へと 宇田川海人(F-95)
- 波紋というテーマの上にネットワークによるコミュニケーションというコンセプトを重ねあわせ
その関わりをヴィジュアルに表現した様はインタラクションとして美しい。
ネットワークでくり拡げられる7人のコミュニケーションが波紋を作り、新たな形を創り出す。
- 光の柱 prefab(F-185)
- 単純に階層化された柱だが、プログラミングされたその光の動きとリズムがここち良い。
暗く閉された空間で感じるよりもある程度距離をおいて感じたい作品である。
smt賞
- 庭の枯れたヒメリンゴの木からこけし人形を創る賦 源間 正彦(F-20)
- 閉ざされた心 佐々木智恵子(F-156)
- Innermost Resonance 原田拓(F-88)