展覧会概要

展示テーマ

第1章 『カレワラ』を育んだ自然

『カレワラ』に登場するワイナミョイネン、レンミンカイネン、クッレルボといった人物の様々な物語を描いた作品を紹介します。さらに、このような神話の舞台となった美しいフィンランドの自然を描いた作品も紹介します。 とくに、夏から秋の風景画と、すべてが雪に覆われる冬の風景画を見比べることができ、北国フィンランドの風土を知ることができるでしょう。

作品画像
ユーハン・ブラックシュタディウス
「カンテレを弾くワイナミョイネン」
1851年
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アクセリ・ガッレン=カッレラ
「クッレルボの呪い」
1899年

第2章 内なる自然

ウサギ、白鳥、鹿、熊などの動物には特別な意味が与えられ、昔からフィンランドの人々に親しまれてきました。 いわば人間と対等な存在としての動物たちの表現から、その文化独自の自然観・世界観を見ることができるでしょう。
また、フィンランドの人々は自分たちの内面における二重性−寡黙さと感情の爆発−を強く意識しているようです。とりわけその負の部分を悪魔の表現に託した作品や、文化の深層に潜む死のイメージなどを通して、フィンランドの人々の心の内なる自然を紹介します。

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フーゴ・シンベリ
「笛を吹く悪魔」
1896年
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リスト・スォミ
「本当の夜はどこか他の場所に」(部分)
1987年

第3章 現代の神話

神話は現代でも生き続けているのでしょうか。今や『カレワラ』の物語が息づいているような理想的な自然の風景は失われ、無味乾燥な現代的風景が広がっているだけかもしれません。 しかしそうした時代においても、やはり『カレワラ』の神話はフィンランドの自然とともに芸術家にインスピレーションを与え続けています。フィンランド的なテーマを表現する現代の作品の多様性を、絵画、ビデオ、写真などのジャンルから紹介します。

作品画像
マルック・ラークソ
「サンポの防衛−アクセリ・ガッレン=カッレラの作品(1896年制作)による」
1999年

『カレワラ』について

『カレワラ』とは、19世紀に発表された、主にフィンランド東方の辺境の地、カレリア地方で語り継がれてきた神話、英雄の冒険伝説、古民謡などを、エリアス・リョンロットが採集しまとめたもので、このカレワラこそ古代フィンランド人の素朴な宇宙感の結晶であり、夢幻の呪術的な世界が描かれている。
伝承の悲話、獲物を獲るための呪文、熊を殺したときに歌う賛歌、婚礼の前の花嫁が歌う哀泣歌などが含まれていて、まさに神話学、民俗学の融合した宝庫であろう。
この一大叙事詩は、民族的自覚が高まりつつあった当時、フィンランドの人々の魂のよりどころとなり、A・キビの劇作や、A・ガッレン=カッレラの絵やJ・シベリウスの音楽等、フィンランドの文化に深い影響を与えてきた。

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