全館再開のお知らせ

せんだいメディアテーク



せんだいメディアテークをもっとよく知るためのさまざまな情報を、副館長の佐藤泰がお届けします。

47「展示という場づくり」

室内の目立つところに大切なものや美術品のたぐいを飾るという行為は、その場所とその主の価値観や信仰を反映するものとして太古の昔からおこなわれてきました。しかしそれらがまとまって一堂に並べられるのは、富や権力の象徴としての陳列か、売買のための商品展示か、怪しげな見世物くらいで、いま私たちが言うところの展覧会の概念、すなわち表現活動や教育のための展示が一般化するのは、世の中の近代化がかなり進んできてからのことです。どこの町にも美術館や博物館が存在するいま、展示の技術も格段に進み、巨額の費用で世界を巡回する展覧会も普通になりましたが、これらはいずれも飛躍的な経済成長がもたらしたもの。街なかの一等地の広いスペースを占有する大規模展覧会のシステムはいまやそのコストの巨大さにあえぎ、集客が確実に見込める興業としての展覧会しか実施することが難しくなっています。そんな中でもういちど原点に帰り、なぜその場所にそれを展示するのかという基本的なことを見つめなおしながら、展覧会という「場」をたくさんの人といっしょに組み立てていくことはできないかと考えたのが、今年度メディアテークが着手した「コール&レスポンス」という企画です。さまざまな講師とともに学びあい、議論しあいながら共通のテーマを掘り下げ、最後にそれを多くの人に示し伝える「場」をつくります。その「場」の最終的な形式は、もしかしたら展覧会ではないかもしれませんが、そのプロセスは私たちのメディアについてさまざまなことを示唆してくれるでしょう。

(2011/07/01)



  • 6階ギャラリー4200
    何もないときの北西側からの視点

  • 6階ギャラリー4200
    可動壁をだした南側からの様子

ページトップへ